進んだか?日本の女性活躍 世界からの「遅れ」認識をダイバーシティ進化論(水無田気流)

2021/4/19
写真はイメージ=PIXTA

本欄の私の担当は、今回をもって最終回となる。6年近く続けられたことを、読者のみなさまには心より感謝申し上げる。安倍晋三政権と並走して来たため、アベノミクスの「女性活躍」を問い直すことが多かった。そこで改めて、政権発足時の2012年からの成果を振り返りたいと思う。

まず、働く女性の数だ。総務省の労働力調査によれば、12年12月の女性就業者数は2651万人。それが19年同月は3000万人と349万人増えた。年平均を比較しても7年で338万人増となり、安倍政権時代に働く女性は大幅に増えたといえる。ただし女性の多数が非正規雇用という状況に変化はなかった。

「2020年までに指導的な立場の女性割合30%」という目標はどうだろうか。12年、管理職に占める女性割合は、民間企業の係長級が14.4%、同課長級7.9%、同部長級4.9%であった。19年には同係長級18.9%、同課長級11.4%、同部長級6.9%。微増にとどまっている。

女性の政治参加も微増だ。国会議員に占める女性割合は12年に衆議院7.9%、参議院18.2%だった。20年は衆議院9.9%、参議院22.9%だ。

ダイバーシティ推進とは、あらかじめ内部でのあつれき調整の経路を増やし、激しい外的変化への対応を容易にする方途でもある。近年、世界は大きく変わった。アベノミクスの「女性活躍」は包括的な日本社会革新の契機となるべきだったが、結果的には女性を雇用の調整弁として活用するにとどまった。

男女平等の度合いを示す世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」に日本の歩みが如実に現れている。12年は135か国中101位でスコアは0.653。21年は156か国中120位、スコア0.656と、下位グループから抜け出せない。

ジェンダーギャップ指数とは、受験生の偏差値のようなものだ。自分なりに頑張って勉強しても、周囲がそれ以上に努力すれば自身の偏差値は下がってしまう。「日本なり」の努力の跡は認められるが世界各国の進展はそれ以上。まずはその落差を認識すべきだろう。ここのところ次々と引き起こされる公人の女性蔑視発言は、日本の「遅れ」の証左といえる。

それでも世界観の変革は、社会を変えていく。醜聞や告発もまた、その契機と信じたい。

水無田気流

1970年生まれ。詩人。中原中也賞を受賞。「『居場所』のない男、『時間』がない女」(日本経済新聞出版社)を執筆し社会学者としても活躍。1児の母。

[日本経済新聞朝刊2021年4月19日付]