再エネ電力の法人営業、脱炭素ニーズに細かく対応東京電力エナジーパートナー 勝岡伸圭さん

東京電力エナジーパートナーの勝岡伸圭さん
東京電力エナジーパートナーの勝岡伸圭さん

世界的な「脱炭素」の流れで、環境に優しい再生可能エネルギー由来の電力の需要が増している。様々な電力メニューを販売する東京電力エナジーパートナー(EP)の勝岡伸圭さん(48)は4月から法人営業部長として、現場の指揮を執る。「営業は誠実でないといけない」をモットーに顧客企業の声をくみ取り、再生エネ電力の販売でも業界をけん引しようとしている。

2018年、東電グループは再生エネ事業で大型案件の獲得に成功した。SUBARUの大泉工場(群馬県大泉町)で5000キロワットの大規模な太陽光発電設備を定額で設け、同工場から出る二酸化炭素(CO2)排出量の2%を削減した。企業による再生エネ導入の先進例として注目を集めた案件の交渉役を担ったのが勝岡さんだ。

交渉には熱が入った。太陽光パネルの設置予定場所は大雨が降ると水がたまりやすく、設置が難しかった。勝岡さんは水がたまっても発電に支障が出ないよう、通常より高いパネルの架台を用意。交渉開始から数カ月という短期間で案件をまとめ上げ、発電設備の建設にメドをつけた。

そもそも発電分野は、国内におけるCO2排出量の4割を占めている。企業の脱炭素化に、工場などの使用電力を再生エネ由来に変えることが不可欠だ。

勝岡さんは直近まで再エネ推進部の部長として、再生エネ電力メニューの開発を担ってきた。電力販売は品質などで特徴を出しにくいが、再生エネ由来なら他社と差がつけられる。企画力が求められる中、勝岡さんは神奈川県などの水力発電所由来の電力を地産地消するメニューなどを開発してきた。

大きい案件では自ら交渉に加わった。例えば日本に進出した海外企業が大規模な再生エネ電力を購入したい場合、きめ細かい対応が欠かせない。特に日本の電力制度は「非化石証書」「環境価値」など、諸外国に比べて分かりにくい面がある。勝岡さんは「顧客が再生エネに何を求めているか」をつかみ、最適な供給プランを作ってきた。

今でこそ再生エネ電力のプロとなった勝岡さんだが、1996年の入社後はほぼ一貫して泥臭い営業畑を歩んだ。

入社まもなく群馬支店の営業を経て、01年に本店エネルギー営業部の営業職に配属された。当時は「オール電化」に勢いがあり、工場のガス設備などを電気設備に変えてもらう営業などが盛んだった。ただ相手は大規模工場を持つ大企業などで、交渉は「どこまで値下げできるか」を求められる。当時は「(営業先から)色々試されたが、期待に応えられずによく怒られた」と振り返る。

勝岡さんは逆転の発想で挑み始めた。「できないことはできない」と割り切り、顧客と誠実に向き合うことだ。値下げを求められても、ムリな水準がある。そんな時はきっぱり「難しい」と伝えた。物事を曖昧にしない姿勢に、顧客も次第に信頼を寄せたようだ。勝岡さんは次第に自動車メーカーや大手小売りを任されるようになった。

もう一つ大切にしたことがある。「アメーバ営業」と名付け、顧客先の様々な立場の人にアプローチする手法だ。例えば工場を持つ企業には、同じ社内でも部署や立場によって「ガス設備」派と「電気設備」派がいる。1人に交渉するのではなく、ポジションが異なる人々と様々な機会をとらえて話すようにした。

すると顧客企業の本音や内情をいち早くつかめるようになった。異動の季節には、先に人事情報を入手して「そんなことまで知っているのか」と社内事情を知りたい人の役に立つ。顧客企業に並々ならぬ熱意をそそぎ、「東電と言えば勝岡」と覚えてもらうことを目標に実践していった。

「お客さんと会話するのが楽しい。自分の糧となり、仕事を通じて成長できる」。勝岡さんは営業の醍醐味をこう語る。

企業が求める再生エネ電力の調達方法は多種多様で、他社とも競合する。顧客が求める背景や実情を読み解き、持ち前の情熱で活気づく再生エネ電力の販売最前線で勝ち抜く構えだ。

(落合修平)

かつおか・のぶよし
 96年東京電力入社。支店営業や法人営業などを経て、19年9月から販売本部再エネ推進部長として再エネメニューの設計に携わる。21年4月に販売本部法人営業部長。千葉県出身

[日経産業新聞 2021年4月16日付]


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