家の紙類を整理 3つに分類、たまったら廃棄も意識
生活研究家 阿部絢子
家のあちこちに置かれた紙類。ペーパーレスの動きが広がってきたとはいえ、まだまだ種類も量も多く、なかなか片付かない。書かれた内容や必要度に応じて整理するにしても、細かく分けすぎれば収拾がつかなくなる。そこでおすすめしたいのが簡単に3つに分類してみるやり方だ。
まずは家計に関わる重要な内容が書かれ、生活に大きな変化があるまで動かさない、長期保管する紙類。例えば家や土地の権利書、保険証券、年金手帳、電気やガスの契約書などがある。紛失してしまうと、支障を来すものだ。
長期保管することになるので、冊子式のファイルにひとまとめにしておく。1冊になっていれば探しやすく、見やすい。家族の誰もが分かるように、置く場所も決めておくといいと思う。
次に日々の暮らしや仕事に使う紙類。家電製品の取扱説明書、学校や町内会の通知、連絡はがき、買い物の領収書、新聞や雑誌の切り抜きやチラシ、仕事や趣味で使う資料といったもの。この種の紙類は家にかなり多くあるだろう。
とはいえそれぞれの紙には役割がある。相手に返信を出した、仕事や趣味の催しが終わった、本を読み終えた、家計簿や手帳に書き写した、学校を卒業したなど、節目を迎えれば、保管の必要がなくなる紙類ともいえる。名残惜しいかもしれないが、このタイミングで廃棄場所へ移動させる。これが整理のポイントだ。
我が家の場合、やがては捨てるのを前提に、保管場所を決めている。手紙やはがきは読み終えたら2段ある保管用引き出しへ。満杯になったら、廃棄する紙を置く別の引き出しへと移す。
仕事や趣味の資料はクリアファイルに挟んで棚に並べておく。仕事や内容によってファイルの色や柄を変え、すぐ分かるようにしている。仕事が終わったり、趣味のことが一段落したりすれば、ファイルを残して紙を抜き出し、廃棄用引き出しへ持っていく。廃棄用引き出しにある紙類は1年保管した後、実際に処分する。
このように紙類を整理・処分していく場合、保管のルールや廃棄場所を決めるのが大切だ。つまりこの種の紙類は循環させること。「いつかいるかも」とため込んでしまいがちだが、「いつかとお化けは出ない」と自分に言い聞かせ、とにかく紙離れを心がける。
最後は一生残したい紙類だ。これを整理するのが難しい。昔の写真や手紙、本、雑誌、旅のパンフレットなど。なくなっても暮らしや家計に直接影響はしない。そうはいってもやはり自分や家族の人生の証を思い出として残したいと思うもの。その思いは大切に、暇をみつけて取捨選択を繰り返し、残すべき紙類を選び抜こう。電子化してパソコンやスマートフォンに保存する手もある。時々眺めて思い出すのも楽しい。
薬剤師の資格を持ち、洗剤メーカー勤務後に消費生活アドバイザーに。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。「ひとりサイズで、気ままに暮らす」(大和書房)「ひとり暮らしのシンプル家事」(海竜社)など著書多数。
[日本経済新聞夕刊2021年3月23日付]
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