先延ばしする癖が直らない著述家、湯山玲子さん

著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」「女ひとり寿司」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。
著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」「女ひとり寿司」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

先延ばしにする癖が直りません。「いまやればいいのに」と思いつつ、着手できません。「熟慮中」などと言い訳をしながら、何かを抱えている感覚にストレスも感じます。どうしたらすぐ始められますか?(北海道・50代・女性)

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人生における先延ばし問題。健康に生きている人間ならば、全員が身に覚えがあるお悩みだと思います。先延ばしする心理は「やんなきゃダメだけど、面倒くさいなあ」に尽きる。そしてこれは、特に締め切りが決められていない「自分で決めた、やらなくてはならないこと」や、「仕事だけど、今すぐにやるものでもない」ということがらに対して発生します。

だったら、自分で締め切りを作ればよいのですが、当の自分が「本当は締め切りなんて無い」とわかっているのでなかなかうまくいかない。

さて、どうするか? それには「ものごとを始めるのは0を1にすることで、ものすごくパワーがいる。1を始めれば、その先の5とか10にするのは案外簡単」という人間心理を利用しましょう。

普通、0からものごとを始めるにはやる気、という気分を使いますが、これがクセ者でなかなか出てこない。ならば、原始人の火起こしのような手間のかかる「やる気パワー」を使わず、やらざるをえない“場”に自分をセッティングするのが得策です。

私自身が仕事上でよくやるのは、パソコンの文書作成を寝る前に案件ごとに立ち上げておき、翌朝、パソコンを開けた瞬間、タイトルが入った白いページが現れる、というもの。自分の中に「よしやるぞ」のエネルギーが寝ぼけ眼でもわいてしまうので、結果、やり遂げてしまうのです。

丁寧なメールの返信などもそれで対処。0を1にしてしまえばあとは簡単、ということですよね。断捨離のコツとして、本でも洋服でも、すべてを床置きしてから取捨選択すべしという王道がありますが、これも「片付けないことには生活できない」という切羽詰まった“場”を問答無用で作ってしまう方法です。

「先延ばし」には、「◎◎をしなければならないから(仕上げるまで)他の行動を控える」という心持ちが隠されてもいます。つまり、行動しない言い訳。相談者氏の「熟慮中」には、年をとって新しい経験を避けがちになる言い訳のために「やるべきことを先延ばしにする」傾向も見て取れます。忙しいと言って、お誘いを断る心理ですね。

タイムイズマネー。心の有り様は関係なく、形から入って手を付ける0→1スタイルでものごとをやっつけていきましょう。

[NIKKEIプラス1 2021年2月13日付]


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