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昭和レトロ+書店で文化発信 丸福珈琲店、大阪心斎橋

日経MJ

丸福珈琲店を展開する丸福商店(大阪市)は2020年11月、新業態店「丸福珈琲店 Good Old & New Edition」を開業した。商業施設「心斎橋パルコ」(大阪市)に出店し、書店と初めてコラボし、読書と飲食を同時に楽しめるスペースを設けた。文化イベントなどを定期開催する。新たな客層を取り込み、ブランド力の向上を狙う。

心斎橋パルコは、そごう心斎橋店と大丸心斎橋北館の跡地に再開発された施設内にある。丸福商店はそごう時代から店を構えており、再出店した格好だ。

店内に約60席を設け、書店「スタンダードブックストア」とコラボした。柱の周りに設けた棚には、同書店が販売する本や雑貨などを並べた。大阪や丸福珈琲店に関する小説やエッセー集など書籍のほか、若手アーティストらが手掛けた古着や絵などをそろえた。

書籍や雑貨などの展示物は季節に合わせて定期的に変え、購入もできる。店頭で持ち帰り専用のメニューを頼めば、飲食をしながら読書を楽しめる。飲食は通常のメニューのほか、同店限定の洋菓子ダマンドやオープンサンドも提供する。

イートインスペースは昭和のレトロ感の演出にこだわった。床や仕切りには木がふんだんに使われており、暖かな雰囲気を出している。ボックス席の近くにある照明や看板はそごう心斎橋店時代から使われている。「昭和の喫茶店の雰囲気を懐かしむ中高年の客層も多く、人気だ」(担当者)という。

飲食をしながら読書も楽しめる

カウンター近くのスペースは約30席を設け、開放感のあるデザインにした。買い物客のほか、パルコ内にあるコワーキングスペースで働く起業家やデザイナーらも気軽に来店し、仕事や交流ができるという。

新型コロナウイルスの感染拡大影響が収束すれば、月に1~2回、トークショーやワークショップなども開催する予定だ。同社は既に他の店舗でフラワーアレンジや扇子づくりなどのイベントを開催しているが、「スペースを活用して、イベントで多くの人を呼び込み、丸福を知ってもらう」と話す。

大阪・ミナミ発祥の丸福珈琲店は1934年に開業した。現存する大阪のコーヒー専門店では最古といわれている。20年9月以降は心斎橋店のほか、岩田屋本店(福岡市)や神戸阪急(神戸市)などにも出店し、足元では関西圏や首都圏を中心に全国で約30店を展開する。

濃厚な味と豊かな香りのコーヒーが売りで、戦前から店に通う「オールドファン」の常連客も多い。ただ、中高年層から人気である一方、若い人の取り込みは課題だった。近年は新商品の開発やイベント開催などで、新しい客層を開拓し、ブランドの向上を目指している。心斎橋への「復帰」もその一手であり、多様な客層を呼び込み、大阪・ミナミの文化発信地にする。

(松本晟)

[日経MJ 2021年1月27日付]

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