濃厚なウニ、皮はもちもち 中国・大連の海鮮ギョーザ

2020/10/29
ウニギョーザは濃厚なウニのうまみが口に広がる(喜鼎海胆水餃)
ウニギョーザは濃厚なウニのうまみが口に広がる(喜鼎海胆水餃)

中国・東北地方の伝統的な料理といえば、モチモチとした食感が特徴の水ギョーザだ。海に囲まれた半島の先端に位置する遼寧省大連市では「新鮮さなら中国有数」と言われる海鮮を使ったギョーザが名物だ。特に人気のウニのほか、アワビやイカなど様々な海の幸を包み込み、各店が腕を競う。

「喜鼎海胆水餃」では職人技を見学できる

「生のウニは食べたことがあるけれど、このギョーザはもっとうまい。また来たいね」。遼寧省瀋陽市の自営業男性、董邵博さん(28)を魅了した店は「喜鼎(シーディン)海胆水餃」だ。検索サイトで高評価だったため、旅行中に立ち寄ったという。

看板料理はウニギョーザ。じゅわっと濃厚なウニのうまみが口内に広がる。3種類の小麦粉で作るモチモチした食感の皮と隠し味の豚肉が効いた具材の相性も抜群だ。店内では職人技も見学できる。専用の棒で平らに伸ばした皮に豚肉を混ぜたウニを乗せて包む。作業時間は1個につき約8秒だ。

ウニギョーザの料金は一般的な水ギョーザの約3倍と高価だ。同店を運営する飲食店グループは低価格帯のギョーザチェーン店「喜家徳」を中国で約600店展開しており、「普段行くのは喜家徳、ぜいたくしたいときは喜鼎」といった具合に、客が使い分けているようだ。

中国では一般的に水ギョーザには中華料理に欠かせない豚肉や白菜、ニラをよく使う。海鮮ギョーザは大連市など海産物が豊富な港湾都市で独自に発達した食文化だ。かつてはエビなど比較的割安な海産物を使うケースが多かったが、経済成長に伴いウニなど高級食材の使用が増えたという。

「船歌魚水餃」のイカギョーザ(下)とエビギョーザ

「船歌魚水餃」は色とりどりのギョーザを売りにしている。イカスミ入りの皮に包まれた真っ黒なイカギョーザは「見かけが斬新なだけでなく、スミに含まれる栄養分も豊富」(男性店員)。鮮やかな緑色のエビギョーザの皮にはホウレンソウの汁を混ぜ込んだ。どちらも具材には豚肉とニラも使用しており、海鮮の風味と肉のうまみを同時に楽しめる。

約20年前に開業した「大清花餃子」ではアワビのギョーザを堪能できる。コリコリとしたアワビと隠し味のキュウリの異なる歯応えが特徴だ。「キュウリは加熱すると水分が出てくるので、皮が破れやすくなるのでは」と尋ねると、女性マネジャーの陳静さんが「独自のノウハウで水分を抑えているのよ」と教えてくれた。

<マメ知識>旧満州で日本人親しむ
地域によって様々な食文化を持つ中国。ギョーザは紀元前からある料理とされ、春節(旧正月)では家族で一緒に作って食べる習慣がある。日本の統治下だった戦前の旧満州(現中国東北部)で暮らした日本人もギョーザを食べ、帰国後にその味を懐かしんで作るようになったことが、日本でもギョーザが普及した理由のようだ。
中国人にとってギョーザは主食で、総菜としてご飯と一緒に食べる日本式とは異なる。主な食べ方は中国が水ギョーザ、日本が焼きギョーザという違いも興味深い。

(大連支局長 渡辺伸)

[日本経済新聞夕刊2020年10月29日付]

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