タイにサーモン供給 取引先に知識伝授、営業支援も DMC 湯沢健さん

セルマックはノルウェーで養殖したサケを欧州で販売し、南米のチリで養殖したサケを北米や南米に出荷していた。そこから事業を広げ、三菱商事の営業網を使って世界でサケを販売する。その事業モデルとして白羽の矢がたったのがDMCだ。

湯沢氏はマグロのトレーディング経験が長く、水産物の専門家として三菱商事からDMCに送り込まれた。18年に営業本部長として着任した。だが当初は苦労した。なにせ現地社員は水産物を扱った経験がない。「サケの片側のエラだけ白くなっている。病気ではないのか」とレストランから聞かれても、担当者は原因を答えられなかった。

そこでオフィスの台所に社員を集め、レクチャーを重ねた。ケースの中の氷が溶けるとサケの片側だけ水につかり、そこから血が流れて白くなる。だから病気でも何でもなく、問題なく食べられる。サケには身がピンク色のサーモンだけでなくオレンジ色のトラウトもある。顧客の好みに合わせて提案できる。顧客をひき付けるための知識という武器を伝授した。

毎日輸入に変更

輸入頻度も変えた。それまでサケの輸入は競合他社と同じく週2回程度だったのを、毎日輸入するように改めた。湯沢氏はセルマックの事業管理をした経験もあり、同社が毎日、水揚げをしていることを知っていた。湯沢氏は「魚も情報も鮮度だという教育を受けてきた」と話す。新鮮なサケを顧客のもとにデリバリーできる体制を整えた。

顧客にはサケの産地情報をきめ細かに説明することも心がけている。単純な商売だけでなく、魚の買い付けについて、どの時期なら安く調達できるかなどの相談にものる。ある大手レストランチェーンの冷凍サーモンの入札に3年連続で成功し、年約1000トンを供給している。サケについての知恵袋としても協力し「売り買いだけでなく、ビジネスパートナーの関係になっている」と自負する。

タイにおけるDMCのサーモンのシェアは、湯沢氏の着任当初から2倍の20%に高まった。地元の大手スーパーとトップを競う。こうした現地での努力が積み重なり、三菱商事の世界戦略を支えている。

(安藤健太)

ゆざわ・たける
2005年三菱商事入社。水産物部門に配属となり、冷凍の天然マグロの輸入販売に従事。東洋冷蔵への出向や中国での水産物販売会社の立ち上げを経て、15年から東京でセルマックなどの事業管理を担当。18年から現職。

[日経産業新聞 2020年9月9日付]


管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


成果につながる「伝え方」「見せ方」を磨く講座/日経ビジネススクール

ビジネスの相手を説得できる会話力・プレゼン力・文章力などが身につく日経のおすすめ講座

>> 講座一覧はこちら

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集