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「Zoom」によるオンライン取材

KADOKAWA傘下のドワンゴが「ニコニコ」の立て直しに取り組んでいる。新型コロナウイルス禍の環境変化に対応し、無観客コンサートや休館中の美術館の展示をオンライン配信するなど存在感を増している。動画ビジネスの競合がひしめく中で、再建に向けて昨年2月に就任した夏野剛社長は「アフターコロナは違う次元にいくつもりで攻めていく」と話す。

音楽ライブや美術館も代替

――ニコニコ事業を含むKADOKAWAの「Webサービス事業」は2019年度に黒字転換しました。コストの見直しや不採算事業の整理などを進めましたが、手応えはどうでしょう。

「ドワンゴという会社全体の立て直しとの役割で急きょ登板しましたが、昨年度でかなり成し遂げました。残っている任務が、ニコニコのプレミアム課金ユーザーの数を下げ止まらせて、上向きにすることです。これをなんとか今年度中に実現したいなと思っています」

――法人や個人がチャンネルを開設して、それぞれがユーザーに課金できる「ニコニコチャンネル」という事業にも力を入れているそうですね。

「ニコニコチャンネルの伸びを加速させるため、リソースの再配置をやりました。先行きが望めないものは終了し、伸びているところに資金と人を集中して投入することが経営者の仕事です」

――ニコニコのプレミアム課金ユーザーは16年のピーク時には256万人でしたが、今年3月末には163万人まで減りました。この状況をどう見ていますか。

「サービス全体の利用は落ちていない、というのが社長を1年やってみての実感です。『ニコニコチャンネル』の方は、課金ユーザーが一気に120万人に増えています。それぞれのチャンネルを開いている個人に対し、お金を払うユーザーは増えているのです。プレミアム課金ユーザーとチャンネルのユーザーを合わせると、280万人になります」

「ドワンゴという会社にとってみると、プレミアム課金ユーザーの利益率の方がはるかに大きいので、ここはひとつの課題です。ただ、新型コロナが広がった後、ニーズの高まりを感じています。音楽のライブなどができない状況になったとき、いち早く無観客放送などを充実させ、アクセスは非常に増えました」

――東京交響楽団の無観客コンサートを3月にオンライン配信するなど動きが早かったですね。

「2月の時点で観客を入れたライブはなかなか難しいぞとわかり、そして美術館も厳しくなると。ニコニコの良さは、見ている人のコメントを通じて、みんなで場を共有できることです。リアルにその場所にいることを代替できるツールとしては、ほかの動画サービスより強みがあるとの仮説のもとに、一気に舵(かじ)を切りました」

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