企業トップとの交流 読んでて良かった『礼儀作法入門』日本将棋連盟会長 佐藤康光氏

佐藤康光氏と座右の書・愛読書
佐藤康光氏と座右の書・愛読書
小学校1年で将棋を覚え、しばらくは将棋の本ばかり読んでいた。
さとう・やすみつ 1969年生まれ。京都府出身。87年プロ棋士に。タイトル獲得は歴代7位の通算13期。永世棋聖の資格を保持。2017年2月から現職。

小中学生の頃に読んだ本の9割以上が将棋に関する本でした。名作の児童文学もいくつかは読んでいるはずですが、あまり覚えていません。唯一、印象に残っているのが『ドリトル先生』シリーズ。小学生のときに図書館で全12巻を借りて読みました。ドリトル先生と動物たちの対話によって物語が進行していくのが面白かった。最近は娘たちに読み聞かせています。

中学1年でプロ棋士の養成機関である関西奨励会に入会した頃に熟読したのが、早世した名棋士、山田道美先生の著作集。将棋雑誌の連載をまとめたものです。将棋の戦法の成り立ち・変遷を理論的に系統立てた最初の本でしょう。第7巻『日記』は負けた時のつらい思いが描かれ、印象的です。

進学問題で悩んでいた時に読んだのが米長邦雄永世棋聖の『人間における勝負の研究』。ご自身が師匠の反対を押し切って高校に進学した経験から「高校に行った方がいい」と書いてあり、私もその通りにしました。「自分にとっては重要な対局でなくても、相手にとって重要な対局には全力を尽くす」という米長先生の考えは勝負の世界の厳格さを示すものとして将棋界に根付いています。

17歳でプロになり20代半ばくらいからタイトル戦にも出るようになります。この頃も手に取るのは将棋の技術書が中心でしたが、30歳を過ぎ、反動のような形で、『点と線』など松本清張の小説を30冊ぐらい読みあさりました。推理小説としての面白さはもちろん、当時の社会問題が描かれているのが興味深かった。ようやく将棋以外の世界にも関心が向くようになりました。その頃に読んだ囲碁の趙治勲名誉名人の『地と模様を超えるもの』も面白かった。「実力以上の精神力」という言葉に、勝負の世界に生きる者として感じ入りました。

将棋観を変える言葉に出合う。

2006年に出た『将棋脳』は、棋士人生の中で最も衝撃を受けた本です。著者の中原先生はタイトル獲得64期を誇る名棋士。「七番勝負を制するには4つ勝てばいいが、(自分のスタイルで)しっかり勝つのは2つで、あとの2つはフロックだろうが相手のミスにつけこもうが、内容はどうでもいいからとにかく勝つ」と書いてありました。

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