NIKKEIプラス1

フッ素樹脂のフライパンは使いやすく、初心者や料理が苦手な人にも向いている。一方で、使い慣れていても細かいところで疑問がある人もいるかもしれない。

例えばギョーザをつくるとき。フライパンの上である程度火が通ったら、水を流し込み蒸し焼きにする場合が多いだろう。河村さんは「熱くなっているフライパンに水を入れると、樹脂加工を施された金属が収縮する。その結果、樹脂がはがれやすくなるので、熱湯を注ぐ方が素材にやさしい」と話す。

フライパンに専用ホイルシートを敷いて魚を焼いたところ、フライパンが高温になって焦げてしまうこともある。ホイルシートを製造販売するクレハによると、点火前のフライパンに食材をのせるのがポイントだ。シートは熱伝導性が高いため「弱火から中火で調理するといい」という。

焦げ付いたら 買い替えどき

食材によってはどうしても焦げやすいものもある。餅を焼くときに最後に加える砂糖じょうゆなど、加熱した砂糖がカラメルに変化すると焦げ付きにつながりやすい。「砂糖じょうゆは火力を下げてから餅にかけるか、火を止めてフライパンの余熱で仕上げるといい」(河村さん)。プリンのカラメル作りの場合も、適度な粘りになったら手早く器に移すのが焦がさないコツだ。

焦げ付いたら、こすらず、熱湯につけてやわらかくしてから落とすといい。揚げ物に使う場合、「炒め鍋など深さがしっかりあるものであれば、問題ない」と河村さんは話す。

丁寧に使っていても、いずれ買い替えどきは来る。「ギョーザや焼きそばが焦げ付き始めたら、樹脂加工が取れてきたという目安」(河村さん)だ。

料理のプロもフッ素樹脂加工のフライパンを活用している。イタリア料理店、サーレ(神奈川県鎌倉市)のオーナーシェフ、荒井正紀さんは料理によってフッ素樹脂加工や鉄のフライパンなどを使い分ける。「店では卵料理にフッ素樹脂のフライパンを使うことが多い。特にチーズを加えると焦げ付きやすいので重宝する」

高温で調理するときは別の素材のものを使う。「シャキシャキ感を残した野菜炒めには鉄のフライパンがおすすめ」(荒井さん)だという。ソースを温めてパスタを仕上げるときはアルミ製。熱伝導性が高く、火加減を調整しやすい利点がある。使い分けを意識することでフライパンを長持ちさせ、料理の腕も上がりそうだ。

(ライター 松野 玲子)

[NIKKEIプラス1 2020年5月9日付]

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