「洋服の青山」福山本店 ダイソーや飲食併設で集客

日経MJ

2020/4/29
ダイソーなど異業種の導入を進め、集客力の向上を図った(広島県福山市の「洋服の青山」福山本店)
ダイソーなど異業種の導入を進め、集客力の向上を図った(広島県福山市の「洋服の青山」福山本店)

青山商事は「洋服の青山 福山本店」(広島県福山市)を2019年秋にリニューアルを実施。服装のカジュアル化やネット通販の普及に合わせて衣料品売り場を縮小し、グループ会社が手掛ける飲食店などを出店した。店内の100円ショップも強化し、「ついで買い」需要で集客力の向上を図る。複合店の展開で、苦戦が続く地方の路面店をてこ入れしたい考えだ。




ダイソーの商品見直し、セブンやゆず庵の新規出店が奏功

福山本店は、青山商事の本社ビル最寄りの旗艦店だ。店舗は国道沿いに位置し、平日から多くの顧客が集まり、ビジネススーツやコートを購入していく。

紳士服に加えて雑貨や食べ物が詰まった袋を手に提げた客の姿も多い。「アクセスがよいので、何度も来ている」と話す専業主婦の女性は、2階の「ダイソー」を訪れる。ある家族連れは買い物後、敷地内の飲食店「ゆず庵」に足を運んだ。

福山本店では19年秋の改装に先立ち、カジュアル衣料業態の「キャラジャ」を閉店。代わりにしゃぶしゃぶ店の「ゆず庵」を出店し、既存の「ダイソー」も取扱品目を見直した。また敷地内には「セブンイレブン」も新たに誘致した。

紳士服にとどまらない多角化を進める目的は、集客力の向上にある。ネット通販の普及により自宅で洋服を購入する人が増え、スーツだけで集客することは次第に難しくなってきている。国道沿いの店舗は交通量も多く、複数業態を同じ敷地で展開する複合店戦略に向いていると判断した。

グループ企業が運営する「ゆず庵」は家族連れに人気を集め、100円ショップやコンビニエンスストアは普段使いのニーズが高い。福山本店は「ついで買い」需要を捉え、本業の紳士服販売にもつなげたい考えだ。

初の赤字転落をバネに路面店の業績改善を狙う

紳士服業界を取り巻く事業環境は厳しさを増している。「働き方改革」の進展などで、とりわけIT(情報技術)企業を中心に「脱スーツ」の動きが浸透している。19年には大手銀行も服装の自由化を一部で認め、ビジネスシーンでの服装のカジュアル化は、全国的に拡大しつつある。

紳士服大手が得意とする既製服を購入する層は減少している。総務省の家計調査によると「被服及び履物」(2人以上世帯)で、スーツに対する19年の総支出額は4716円と、2000年に比べておよそ半分に減っている。

紳士服最大手の青山商事は20年3月期の最終損益が1964年の創業以来、初めて赤字に転落する見通しだ。

業績改善には、約800店舗の「洋服の青山」の多くを占める路面店の強化が欠かせない。

これまでに「焼肉きんぐ」などの飲食店や、スポーツジム「エニタイムフィットネス」を併設した複合店なども開設してきた。福山本店で培った複合業態の出店ノウハウを活用し、苦戦する地方店改革をさらに進める。

(堺峻平)

[日経MJ 2020年4月29日付]

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