データ分析が必要

もちろん昔のような家族やコミュニティをそのまま現代に期待するのは無理があるし、弊害も大きいだろう。現代には国家という強力な道具があるのだから、これを活用して負担を分散するのが良いはずである。ただし強力な道具の取り扱いを、知識も情報も持たない少数者の思い込みや思いつきに委ねることの危うさは、日本社会が身を持って学びつつあるところである。

母乳育児を推進するメリットとデメリットは何か、何年程度の育休が適当なのか、子供を保育園に預けることは可哀想(かわいそう)なことなのか等々、『「家族の幸せ」の経済学』(山口慎太郎著、光文社新書・19年)にあるような、客観的なデータ分析からの検討が必要である。そうした根拠に基づいた政策決定がなされるように社会を変えていくこともまた、直接の子育てとは異なる形で、次世代のために大人ができることではないだろうか。

[日本経済新聞朝刊 2020年3月14日付]

まんが親 (1) (ビッグコミックススペシャル)

著者 : 吉田 戦車
出版 : 小学館
価格 : 817円 (税込み)

「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)

著者 : 山口 慎太郎
出版 : 光文社
価格 : 902円 (税込み)

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