新型コロナウイルスが猛威を振るう中、政府は不要不急の外出を控えるよう呼び掛けている。全国的にイベントが中止になり、企業も在宅勤務の導入などで対応するが「不要不急」の線引きはどこにあるのだろう。
2月22~23日に北海道壮瞥町で予定されていた昭和新山国際雪合戦。19日に道内で相次いで感染者が確認され、中止を決めた。例年国内外の2万5千人が集まり、今年も約1400人が参加予定だった町の一大イベントだ。
2日間で約200試合、1試合の観客も数百人。屋外とはいえ「接近戦」も多く、選手同士はもちろん、臨場感目当ての観客と選手との距離も近くなる。「大切な雪合戦を感染拡大の場にできない」(実行委員会の三松靖志事務局長)と苦渋の決断をした。
政府が外出を控えるよう求める「不要不急」の判断に困惑する人もいるだろう。近畿大学病院感染対策室の吉田耕一郎教授は「日常生活に不可欠な外出以外は不要不急に当たる」と指摘する。日用品の買い物や通院などが該当するという。
新型コロナウイルスはくしゃみやせきなど飛沫で感染するという。人混みを避けるのが最善だが、どうしても行きたいイベントもあるだろう。
鳴門教育大学地域連携センターの阪根健二所長(防災教育)は「人間関係への影響も判断基準になる」と考える。例えば、長年の友人の結婚式は欠席しにくい。その場合、主催者側の配慮も必要になりそうだ。「キャンドルサービスや来賓のあいさつの省略で、接触を減らしたり、時間を短縮したりする対策が考えられる」(ブライダル企業)
文部科学省が一斉休校を要請した教育現場でも対応は分かれる。東京都豊島区は小中学校に週1回の登校日を設け、教師が1~2時間、課題の進捗具合をチェックしたり質問を受け付ける。「健康状態や学習状況の把握には必要と判断した」(区の担当者)。