薬局に「薬歴システム」売り込み、患者優先の視点共有カケハシ 田中雄介さん

カケハシの田中雄介さん
カケハシの田中雄介さん

医療系スタートアップのカケハシ(東京・中央)が自社の「電子薬歴システム」の導入先を増やしている。営業の先頭に立つのが田中雄介さん(36)だ。大手製薬会社から転じ、カケハシの営業部隊を一から立ち上げた。独特の商慣習を持つ薬局チェーンを開拓するため、先方に「仲間」をつくることに腐心する。

同社の電子薬歴システム「Musubi(ムスビ)」は、薬剤師が患者に薬の飲み方や生活習慣などを助言する「服薬指導」で利用する。薬局のカウンターに置いたタブレット端末の画面を触り、指導した項目をチェックすると、その内容がコピーされて薬歴の下書きになる仕組みだ。

薬歴の管理システムは様々あるが、他社製は薬局の効率アップを最優先したものが多いという。カケハシは「服薬指導の質を高める」ことを重視する。営業先の薬局に「患者の医療体験の質をいかに高めるか」という共通目線を求めることも少なくない。

後輩に誘われ転職

田中さんの前職は武田薬品工業のMR(医薬情報担当者)だ。後輩だった中尾豊社長に誘われ、2017年秋、カケハシに最初の営業担当として入社した。全国各地の代理店の発足にも関わった。

現在の営業部隊は初期の顧客獲得、それに続く商談化、最終的な契約などの数段階に分かれる。田中さんは実際に導入を決めるまでの後半の営業を担う。田中さんがまず力を入れるのは、導入を検討したいと連絡してきた先方との対話だ。現場の薬剤師から連絡が来ることも多く、導入に前向きな推進役を「仲間」としてやり取りを重ねる。

彼らを通じて、薬局内が導入で一致するように働きかけるのだ。社長ら意思決定のキーマンの人柄も分析し「前もってこういう話をしておいてください」などと、外部から助言することもある。

推進役が「このまま導入まで行けます」と言っても、任せきりにはしない。他社の動き、薬局内の承認プロセスなどに目配りをし「これは確認しましたか」などと詳細にリスクを挙げて対応する。

並行して田中さん自身がチェーンのオーナー、経営者らと話を進める。経営者と現場の双方を訪ねて根回しを重ね、チェーン全体の意思を一つにまとめていく。

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