「ただ、今年はカテゴリー間の劇的な移動があるとは思っていません。本当の大きな変化が起きるのは27年じゃないでしょうか。間違いないのは、生き残れないブランドは淘汰される。カテゴリーのなかでは1、2、3にはいたい。3でも厳しいかもしれない」

ワクワク主眼に地方とクラフト

――クラフトビールに力を入れていますが、酒税改正を見据えてですか。

4種類のビールを楽しめる「タップマルシェ」はクラフトビールを全国に普及させる要に

「それもありますが、主眼ではないですね。メーカーが新ジャンルで目先の競争をしても、若者世代は魅力を感じません。ビールはわくわくするんだ、これが一番の眼目です。キリン1社がやるのでは知れていますからね。地方のクラフトブルワリーと一緒にやりましょう、(専用サーバーの)タップマルシェもどうぞ使って下さいと」

「クラフトビールはホップが魂です。地域の活性化にもつながるので、国産ホップはうちが7割購入して、クラフトブルワリーに外販させていただいています」

――アサヒビールが販売量の公表を20年統計分から取りやめると発表しました。

「酒税改正があり、カテゴリー間の移動が全体でどうなるのかが見えなくなるので、各社戦略を打つのにも難儀ですね。これは大変驚いているし、まぁ困りますよね」

――トップシェアを奪われるのを阻止したいからなんでしょうか?

「アサヒさんの意思決定なんでね。なんともコメントしようがないです。うちはいままで通り公表します」

――最後に、今年のNHKの大河ドラマは「麒麟がくる」です。来そうですか?

「来る年にしたい。2年連続で数量を上げましたし。まだ変革、改革は4合目、5合目ぐらいの感覚ですから、上っていきながらそういう形を作っていきたいです」

(聞き手は半沢二喜)

布施孝之
1982年早大商卒、キリンビール入社。2010年小岩井乳業社長。15年1月から現職。趣味はスポーツ観戦で特にラグビーが好き。ラグビーワールドカップの日本対南アフリカ戦を見て日本代表のプレーから、ゴールを共有すること、戦略を理解すること、自発的に行動することの大事さを感じた。千葉県出身。59歳。
■「本麒麟」真価問われる年に
キリンビールの2020年の戦略は既存ブランドの強化とクラフトビール事業の拡大だ。19年はノンアルコールのビール飲料以外にビール系市場で新製品を出さず、一部商品のリニューアルにとどめた。それでも業績面で落ち込みはなく、同社は自信を深めている。
ビール4社の中で最も力を入れるクラフトビールでは、1つの設備で4種類のビールを提供する「タップマルシェ」の導入店が1万3千店に達した。全国9つの醸造会社とも連携、自社ブランドも含めると26ブランドになり、早期の黒字化も視野に入れる。26年の酒税1本化に向け、今年10月には第三のビールが値上げになる。「本麒麟」などブランドの真価が問われる年になりそうだ。(後藤健)

[日経MJ2020年1月6日付]

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