――顧客起点へと変わった事例はありますか。

「例えばテレビコマーシャルもお客様に事前に視聴していただいて、笑顔のスコアが上がっているとか、ここは思案顔をしているとか。一定の好スコアが出ないとコマーシャルに出さないとか。あるいは模擬の買い場でお客様に実践していただいて、何が買う動機か確認するとか。今までは競合と何が違うかという比較しかしていなかった」

競合見るより顧客のニーズ

――競合をみてはダメだと?

「お客様は何を求めているのか。それで生まれたのが本麒麟です。6割のお客様は本当はビールが飲みたいんです」

――20年の市場をどう見ていますか。

「オリンピックイヤーですし、10月には酒税改正で3段階の第1弾がいよいよ始まります。いろんな変化が起きるかと思いますが、キリンは20年も前年比プラス目標。3年連続でプラスということになると思います」

「奇策はないです。昨年もなかったですけれど。まねっこ業界の同質化した状態から抜け出すには、5年後、10年後生き残るブランドを育成するしかない。これは本社から現場まで意思統一しています」

――主力ブランドの派生は考えませんか?

「やらないです。本麒麟の季節商品とかもないです。それはいままでの反省です。『のどごし』の季節限定でばらまいて、目先の一定の数字稼ぎをした時期はありましたが、ブランドを強くすることにならなかった。初年度は多少の目新しさでお客様に手に取っていただきましたが、その次の年は鮮度が落ちます。意味がありません」

――一番搾りは30周年ですよね。

「それもメーカー発想ですよね。お客様からすれば『それがなんなの?』って。お客様が求めているのはおいしくなるかどうか。そのためのリニューアルはあるかもしれないですけどね」

「10年後も生き残るブランドを育成することが競争優位になります。酒税が26年に一本化され、特に新ジャンル(第三のビール)はたくさんあるブランドが絶対淘汰されますから。その時に生き残るブランドを今から投資して育てます」

――10月の酒税改正でビールと第三のビールの価格差が少し縮まりそうですが、影響をどう見ますか。

「消費マインドの影響もあるので読むのが難しいですよね。ビール(の価格)が下がれば増えるかもしれないし、新ジャンルが上がれば減るかもしれないし、新ジャンルからRTD(低アルコール飲料)に流れるかもしれない」

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