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ロンドンで造るクラフト日本酒 甘さ控え1杯700円

日経MJ

カンパイ・ロンドン醸造所では「クラフトサケ」の飲み比べセットなどがある
カンパイ・ロンドン醸造所では「クラフトサケ」の飲み比べセットなどがある

クラフトビールやクラフトジンの人気が衰えない英ロンドン。アートな若者でにぎわう南東部ペッカムの倉庫街には、「クラフトサケ」をつくる小さな醸造所「カンパイ・ロンドン」がある。ロンドン唯一という併設するタップルームでは、1杯100ミリリットルの地酒を5ポンド(約700円)と、ドラフトビールの1パイント(約568ミリリットル)とほぼ変わらない値段で楽しめる。

経営者のウィルソン夫妻は2014年に初めて日本を旅行し、醸造所や居酒屋を巡るうちに日本酒に魅せられた。帰国後、インターネットでこうじ菌を買って自宅で試作し、酒造りにも目覚めた。京都の月桂冠で勉強後、クラウドファンディングで集めた資金で17年初めにロンドンに醸造所を開設。今では年間で約1万5千本を生産し、有名百貨店やレストランなどに販売する。

英国では日本酒の人気が高まっている。日本の国税庁によると、18年の清酒の対英輸出額は14年比で35%増えた。ただ輸入コストがかかることもあり、日本酒は「高い」とのイメージが根強い。

タップルームは18年12月、生酒の素晴らしさをロンドン市民に知ってもらおうと開いた。パブ文化が盛んな英国で、ビールやワインを1杯頼むのと同じように気軽に生酒を飲んでほしい、との思いからだ。

少量の飲み比べセットも用意しており、定番の3種を12ポンドで味わえる。「手軽に飲めるよう、ギリギリまで値段を下げた」とルーシー・ウィルソンさんは話す。スパークリング生酒「フィズ」を試してみると、シトラス系の爽やかな酸味が広がった。

酒造りで心がけているのはロンドンならではの特徴を出すことだ。辛口のアルコールが一般的な英国発の地酒として、甘さを控えめにした。

ロンドンは硬水だが、日本に合わせて軟水にすることはしていない。ミネラル分が豊富なため一般的な日本酒づくりと比べ、醸造過程の温度を低くする必要があるという。こうじも自家製だが、製造費用の多くを占めるコメは日本産にこだわり、約8割は日本からの輸入品を使っている。

土曜日の夜に訪れていたロンドン南部在住の男性(33)は「プレミアム酒は1杯8ポンドだが、良いワインと同じくらい。個人的には日本酒のほうが飲みたい」と語った。「一風変わった企業を支援したい」と、おいしそうにロンドンの地酒を味わっていた。

(ロンドン=今出川リアノン)

[日経MJ 2019年12月16日付]

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