小売店巻き込む

古城さんは営業担当者が取引先と商談する際に利用する毎月発行のリポート「ネタのタネ」の制作も担当している。当初はデータやトレンドの紹介に終始して、取引先や営業から「それで売り場づくりにどう生かせばいいの?」と言われたこともあった。商品説明だけでなく、それを使った食べ方の紹介も織り交ぜ、小売店を巻き込んだ売り場提案を重視するようになった。

12月号では和菓子メーカーを紹介した。10~20代は50~60代に次いで和菓子を好む割合が多い点に着目。人気キャラクターとコラボレーションしたきんつばやもなかを作るメーカーの戦略を掲載した。健康志向で売り上げが伸びている豆乳も採り上げ、新しいフレーバーや凍らせてアイスとして楽しむといった訴求方法も提案した。

「私自身も一人の生活者」と話す古城さん。日常で気がついたことは常にメモをとり、企画づくりに役立てている。2020年は東京五輪・パラリンピックの開催といった大きなイベントだけでなく、酒税の税率変更や食事摂取基準の見直しといった食に関連する制度・基準の見直しが相次ぐ見通しだ。「ライフスタイルの変化やトレンドを見逃さず、商売のチャンスにつなげたい」と意気込む。

メーカーと小売りの間に立って流通を支える食品卸。水面下では限られた小売企業との取引を競う争奪戦が繰り広げられている。大手卸でも売上高に対する経常利益率が1%を切る消耗戦が続くなか、価格以外にもどれだけ魅力的な提案ができるかが商談の勝ち負けを左右する。古城さんらの役割はますます重くなっている。

(伊神賢人)

こじょう・ひさこ
1993年に国分(現国分グループ本社)入社。取引先の棚割支援業務に従事。営業・商品企画担当を経て、2016年からマーケティング企画部。現在は営業を支援する企画の立案などを幅広く担当。

[日経産業新聞2019年11月29日付]

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