遺族は第二の患者 専門外来や集まり、癒やしの場に

2019/11/20付

がんなどで闘病の末に家族を失った遺族は、自責の念に駆られるなど心に深い傷を残すこともある。喪失感で抑うつ状態が長引き、健康を害する人も少なくない。「第二の患者」ともいわれる家族にとって、専門外来や一緒にみとった医療機関の継続的なケアや、遺族同士の集まりは癒やしにつながる。心の傷を放置せず、早めに対応することが大切だ。

10月下旬、埼玉医科大国際医療センター(埼玉県日高市)包括的がんセンターの「遺族外来」を同県狭山市に住む女性(70)が訪ねた。

女性は12年前、夫(当時58)と死別した。夫は原因部位が分からない「原発不明がん」で、診断から2カ月後に息を引き取った。女性は「早く受診させていれば……」と自分を責め、意欲が湧かず、仕事も辞めた。「子どもがいるからいいじゃない」。周囲の慰めは逆効果だった。

夫をみとった医師の紹介で遺族外来に通院。多いときは週1回だった通院は現在、3カ月に1回程度で、女性は「話を聞いてもらえるだけで気持ちが楽になる」という。

家族を失った苦しみを抱える遺族の話を聞く大西秀樹・精神腫瘍科診療部長(10月31日、埼玉県日高市)

全国に先駆けて遺族外来を開設した同センターの大西秀樹・精神腫瘍科診療部長は「家族は『第二の患者』ともいわれ、ストレスが大きい場合、精神科的な治療が必要なこともある」と指摘する。

かみいち総合病院(富山県上市町)では終末期を在宅で過ごした患者の遺族を支える「グリーフ(=悲嘆)ケア訪問」を実施。患者が亡くなってから2週間~2カ月をめどに、主治医や看護師らが自宅を訪問している。

「正しい選択だったのか」と迷いが生じる遺族もいる。訪問では現在の心境を受け止め、在宅診療を振り返るなど遺族をねぎらう。家庭医療センターの大野知代子・看護師長代理は「一緒にみとった立場として悲しみに共感し、遺族の癒やしになる」と話す。

遺族同士の集まりも悲しみを受け止める場となる。

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