こすり続けるより放置で効果 汚れ落としのCHAT理論生活コラムニスト ももせいづみ

2019/11/19付
写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

おそうじのプロが実践している汚れ落としの「CHAT理論」というのがある。汚れのタイプに合ったChemical(洗剤)Heat(温度)Agitation(方法)Time(時間)を組み合わせるという考え方で、頭文字を取ってCHAT。

やみくもに強力な洗剤をかけてゴシゴシこすっても、汚れが落ちないどころか素材に傷がついたり、何より疲れたりする。日ごろのそうじに無駄な労力を費やしてしまわぬよう、家の汚れのタイプをしっかり把握してCHAT理論を応用してみよう。

まず油汚れは酸性なので、洗剤はアルカリ性を選び中和させて落とす。頑固な油汚れにはアルカリ度の高いセスキ炭酸ソーダもオススメだ。油が融解しやすい60度から70度の湯にセスキ炭酸ソーダを溶かして10分ほど漬けおきすれば、ゴシゴシこする手間なく、汚れが落ちやすい。

一方で、水あかはアルカリの性質を持つので、酸性の洗剤が合う。クエン酸を4~5%の濃度で水に溶かしてスプレーを作っておくと、シンクやトイレのタンク、鏡などについた水あかの汚れ落としに便利。一度で落ちにくい場合は、ラップで湿布して30分ほど置いてからスポンジや掃除用のクロスを使って。

鏡など丈夫な素材は、以前この連載でも紹介したスクレイパーを使ってこそげ落とすほうが、ゴシゴシこするよりラクチンだ。いずれも、最後は酸やアルカリ成分を残さないよう、よくすすぐか拭き取るようにしよう。

風呂場は皮脂や水あかなどの汚れが混在しているので、温度と時間の配分で効率アップしよう。皮脂汚れが融解するのは40度前後なので、風呂の残り湯に洗剤か重曹を溶かして漬けおきすれば、洗面器や風呂椅子の汚れが落ちやすくなり、同時に風呂掃除も楽に。

皮脂汚れの落ちやすい温度を知っておくことは、洗濯にも役に立つ。洗剤に多く含まれている酵素が一番効果を発揮するのも40度前後。入浴直後の残り湯で夜洗濯をするのは、汚れ落ちの面からもエコの面からもとても理にかなっていることになる。

また、カビは42~60度で死滅するといわれているので、カビの生えやすいキッチン回りの小物は、60度ほどの湯に10分ほど漬けてから乾燥させてみよう。熱湯は排水パイプを傷めるので、このあたりの温度管理には気をつけて。

こうして見てみると、汚れ落としには「放っておく」時間が結構大切ということがわかるはず。適切な洗剤を選び、汚れが落ちやすい温度でしばし放置。汚れを落とす方法も、なるべく簡単に済むほうが素材を傷つけずに済む。

体力と時間をかけるより、楽をするほうがよい結果につながるということも。そろそろ年の瀬で大そうじが気になる人も、CHAT理論をぜひ取り入れてみて。

ももせいづみ
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。

[日本経済新聞夕刊2019年11月19日付]