カナル4℃のジュエリー 「自由で楽しい」デザイン

日経MJ

改装した店舗では手軽に手に取れるようガラスのケースを取り外した(横浜市)
改装した店舗では手軽に手に取れるようガラスのケースを取り外した(横浜市)

宝飾品大手ヨンドシーホールディングス(HD)が傘下ブランド「カナル4℃」で、女性が自分自身に買う「自家需要」の取り込みに動き出した。9月にロゴを刷新し、直営店も大幅に改装。商品も斬新なデザインのアイテムを増やした。主力の「4℃」との違いも打ち出すことで、婚約指輪などの需要にもつなげる。刷新から2カ月、効果が徐々に出始めている。




横浜市の複合商業施設、横浜ランドマークタワーの3階。カップルや会社員、訪日外国人などが行き交う施設内に、「カナル4℃ランドマークプラザ店」はある。9月上旬に大規模改装を施した同店では、昼時にはスーツを着た女性会社員がイヤリングを手に取る姿がみられた。

休日におしゃれを楽しみたい働く女性に発信

カナルは2009年に誕生したが、ここ3年ほどは売り上げが伸び悩んでいた。ヨンドシーHDの滝口昭弘社長は「売りやすい物を売りすぎた」と振り返る。シンプルなデザインが多いだけに、4℃と商品や顧客層も重複してしまった。そこで女性の自家需要を取り込むべく、店舗や商品構成などを抜本的に見直すことにした。

「カナル」の新ロゴ(下)と旧ロゴ

まず、店舗におけるアイテムのうち3割程度を、女性が買いたいと思うデザインに振り向けた。改革を指揮する同社子会社エフ・ディ・シィ・プロダクツの岩村太郎商品第2部長は「素材と価格によるアプローチから、トレンドによるアプローチへ転換した」と説明する。これまでは男性のギフト需要を意識した「無難なジュエリー」が多かったが、女性には普通だと思われがちだった。

このため、国内外のデザイナーと組み、大ぶりなシルエットのピアスや重ね付けできる指輪などをそろえた。休日におしゃれを楽しみたいという働く女性に向け、イヤリングなども増やした。

ガラスケース取り外して手軽に試着

女性の来店を意識した店作りにも腐心している。ランドマークプラザ店は1号店で、通路に一番近い売り場のガラスケースを外して大きな鏡も取り付けるなど、手軽に試着できるようにした。

「福岡パルコ店」(福岡市)も同様のコンセプトで改装した。今後は売れ行き状況などを見ながら、全国40以上の店舗でも年間3~5店程度でこうした改装を進めることを検討している。

効果は表れ始めた。改装した店舗では9月初旬以降、自家需要とみられる売り上げが5%増加。手軽に買える「ファッションジュエリー」に限れば、2桁増という。30~40代の女性による購入も2割増え、顧客層が着実に広がっている。

今後の目標は、販売単価の上昇と継続的な関係作りだ。従来の中心価格帯は2万~3万円だが、「3万~7万円が働く女性が買う価格帯。来年以降はここをメーンにしていきたい」(滝口社長)と意気込む。4℃とブランドを住み分け、幅広い世代の女性を取り込むことができるか。カナルの改革はまだまだ続く。

(佐伯太朗)

▼「4℃」の妹ブランドとして2009年に立ち上げた。10~20代を対象に、これまで宝飾品に触れてこなかった「ジュエリービギナー」向けの商品を展開する。男性から女性へ贈るギフト需要を取り込み、順調に売り上げを拡大。ピークの17年2月期に売上高が50億円規模になった。

[日経MJ 2019年11月8日付]

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