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SFは国境越える 中国発「三体」、劉慈欣が描く世界

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NIKKEI STYLE

中国を代表するSF小説「三体」の邦訳が刊行され、11万部を超えるベストセラーとなっている。初来日した著者の劉慈欣(りゅうじきん)(56)は「SFは人類全体が直面する問題を扱っている」と越境性を強調する。

中国で2008年に刊行された「三体」は3部作の第1部で、本国ではシリーズ合計で2100万部以上を売り上げた。14年に中国系米国人作家ケン・リュウが英訳し、15年にSF界最高のヒューゴー賞を翻訳書として初めて受賞した。7月発売の日本語版(立原透耶監修、大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳)も話題となっている。

物語は1967年の中国で幕を開ける。前年に始まった文化大革命(文革)のまっただ中で、毛沢東が扇動する紅衛兵が知識階級などを攻撃、社会は大混乱に陥った。主人公の一人、葉文潔は物理学者の父を紅衛兵の糾弾によって失う。

「あくまで背景として描いたもので、文革そのものを書きたかったわけではない。しかし(63年生まれの)私の世代にとって文革は大きな出来事であり、一生逃れることができない」と話す。その上で「文革の実態を示すには(ディストピアを描いた)ジョージ・オーウェル『1984』の想像力でもまだ足りない。主人公の人生に絶望をもたらすものとしては文革以外に思いつかなかった」と付け加える。

人類に失望した葉は軍事基地にスカウトされ、地球外生命体とのコンタクトという秘密の国家プロジェクトに参画する。

古典的で普遍的

地球外生命体との遭遇は古典的ではあるが、普遍的なテーマとみる。「1万年出会っていなくても、明日やってくるかもしれないという点で現実的な問題だ。ファーストコンタクトにどう対応すべきか、国家や国際機関は考えておく必要がある」と主張する。

葉のプロジェクト参画から四十数年後、もう一人の主人公であるナノマテリアル(極小素材)研究者、汪●(森の形に水を3つ)は世界的科学者が相次いで自殺している事実を知る。背後にうごめく学術団体への潜入を引き受け、3つの太陽を持つ惑星が舞台のバーチャルリアリティー(仮想現実)ゲーム「三体」の世界に飛び込む。

若い頃は「ゲーム大好き人間だった」と劉。20代は米国製アドベンチャーゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ」などに熱中した。「ゲーム専用機はなかったので、もっぱらパソコンでプレーした。忙しくなって、ゲームからは離れたが、今でも関心はある。ただ、仕事もゲームのようなものであり、そう思うことで忙しくても慰められる」

SFとの出合いは、子供の頃に読んだジュール・ヴェルヌ「地底旅行」。中国でも50年代に翻訳されていたが、文革で禁書扱いだったのをこっそり読んだ。「全て本当の話だと思ったので、想像だと教えられて驚いた」

「三体」は米国のオバマ前大統領、フェイスブックのザッカーバーグCEOらが高く評価し、各国に愛読者がいる。もっとも「核は他の作品と変わらない」ときっぱり。それは「小さな人類と大きな宇宙の直接的な関係など、日常生活では超えられない時間や空間を文学作品に落とし込む」ことだという。

風刺に興味ない

文革の取り上げ方などには社会性や批評性も読み取れる。だが「現代社会を風刺することに興味はない。SFに慣れている欧米や日本の読者なら、いきなり未来の話をしても付いてきてくれるだろうが、中国では未来につながる現代が求められる」と話す。

「SF作家が科学技術の暗い面を描こうとするのは時代の趨勢かも」と認めつつ、その傾向にはくみしない。「膨大な人口を抱える中国がさらに発展するには科学技術は欠かせないし、それは日本も同様だろう」。人工知能(AI)が人間の能力を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)に関しても「技術的障害は多々あるが、人間のあり方そのものを変える可能性を秘めている」と前向きだ。

長年発電所のエンジニアをしながらSFを書いてきたが、今は作家専業。「SFは個人ではなく人類全体の問題を扱うため、国境を越えやすい面があるのではないか」と述べ、様々な国で読者が増えているのを歓迎する。

(編集委員 中野稔)

[日本経済新聞夕刊2019年11月5日付]

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