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池上彰の大岡山通信

世界地図から見える世界情勢 新たな地図手に入れよう 池上彰の大岡山通信 若者たちへ

2019/9/2付 日本経済新聞 朝刊

「世界地図は国際情勢を知る重要な手掛かりになる」と解説した

私はこれまで取材などで世界84カ国・地域を歩いてきました。現地でしか手に入らない世界地図を買うのが趣味の一つです。土地が変われば描かれる内容も変わります。今回は、私が手に入れた世界地図から見える国際情勢について考えます。

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まず基本編です。大半の若者が日本列島が真ん中に描かれた世界地図を使ってきたのではないでしょうか。でも、このタイプの地図に慣れてしまうと、かつて「東西冷戦」と呼ばれていた時代を理解しにくいでしょう。

これは英国が中心の世界地図を基準にしているためです。おおまかにいうと、地図の東側には旧ソ連など社会主義陣営の国々が、西側には米国など資本主義陣営に属した国々がありました。

ただし、これらの地図では日本は東の端に描かれています。いわゆる極東です。英国と極東との間には中東があります。世界の中心をどこに置くかによって、捉え方や呼び方が決まるのです。

「核合意」をめぐって米国との緊張が高まるイランの世界地図には、ある国が描かれていませんでした。それはイスラエルです。背景にはイスラエルと中東、アラブ諸国との対立があります。かつてのイラン大統領は「イスラエルを地図上から抹殺しなければならない」と演説しました。地図から抹殺とはどういうことか。決して冗談には聞こえませんでした。

日本が「日本海」と記している海の名称について、韓国は「東海」と表記するように世界に働きかけています。地図に両方の名称を併記する考え方も含めて、関係者の主張が続いています。

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