簡単スマホ術 ゲーム・SNS…利用制限で子ども守る
近年、スマートフォンを使う子どもが増えている。怖いのはインターネット利用に絡む犯罪に巻き込まれること、時間制限なくゲームに没頭することだ。子ども向けのスマホに必要な設定を解説する。
内閣府の2018年度の調査では、満10歳から満17歳までのスマホを使ったネット利用率は70%。高校生は97%、中学生は70%、小学生は45%だった。
出会い系サイトをはじめ、大人でもアクセスを推奨できないウェブサイトは多い。スマホで子どもがどのようなサイトを見ているのかを、親が逐一調べるのは難しい。子どもを保護する目的で、通信会社は18年2月、スマホ利用者が18歳未満の場合「フィルタリングサービス」を契約時に設定することが義務化された。フィルタリングは閲覧や利用を制限する機能だ。
NTTドコモやau、ソフトバンクの大手通信3社は、「あんしんフィルター」(月額無料)として提供。月額料金が安い格安スマホでもフィルタリングサービスは義務化されている。例えば、トーンモバイルは「TONEファミリー」(子どもだけの契約で月額300円、親子で契約の場合は無料)で見守り機能などと一緒に組み込んでいる。
各社のフィルタリングサービスは「ウェブサイトのフィルタリング」「アプリのフィルタリング」「アプリの利用時間制限」が中核。スマホは好きなタイミングで使える上に、交流サイト(SNS)や動画サイト、ゲームはアプリで利用することが多いため、アプリも利用制限する必要がある。
ウェブサイトのフィルタリング機能は小学生、中学生、高校生、高校生以上などに分け制限強度が決まっている。子どもの端末では成長に応じて段階的にアクセスできるサイトが増える。親向けに「あんしんフィルター」設定専用の管理サイトがあるのでパソコンやスマホからログインし、遠隔操作でフィルタリング強度の設定を変更できる。
強度の設定とは別に、ウェブサイトの閲覧を個別に許可することも可能。URLを管理サイトに直接登録したり、子どもからのリクエストに応じたりして許可する。
アプリのフィルタリングもウェブサイトと同様。年齢ごとに使えるアプリを一括設定したり、アプリを個別に許可したり、制限したりできる。
このアプリのフィルタリングを細かく設定できるのはAndroid。iPhoneではカメラやメールなど最初から搭載されているアプリは個別に制限できるが、追加でインストールしたアプリについては、アップルが決めた年齢別レーティングに準じることになる。アプリごとに設定したいなら、子どもにはAndroidを選ぶといい。
また、アプリの利用時間制限は、アプリを使える時間帯を制限すること。曜日ごとに異なる時間帯を指定できる。例えばゲームや辞書アプリの利用を塾と自由な日など子どもの生活に合わせられる。
Androidは一括設定が主流で、アプリを個別に設定できるのはトーンモバイルなど一部。iPhoneはほぼ一括設定(ソフトバンクを除く)だが、制限時間中でも利用できるアプリを個別に追加できる。なお、AndroidとソフトバンクのiPhoneは保護者向けの管理サイトで利用時間の制限を設定する。
一連のフィルタリングの主要な設定は保護者のスマホやパソコンからできるが、初期設定や無効化など重要な操作は子どものスマホで行う。その設定画面を開くのに必要な専用パスワードはスマホ本体のパスワードとは異なり、子どもは設定画面を開けない。
しかし、パスワードが類推しやすいと子どもが勝手にフィルタリングを無効にするかもしれない。親は厳格にパスワードを管理し、同時にフィルタリングが「子どもを守るための機能」と親子で理解し、スマホの便利さや楽しさを共有しよう。
(ライター 松村 武宏)
[NIKKEIプラス1 2019年8月24日付]
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