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中国プーアル茶1ポット千円 豊かな香りに投機の気配

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中国南西部の雲南省は、年間を通じた温暖な気候と豊かな自然を目当てに国内外から観光客が集まる。肥沃な土壌と南北の文化が交ざり合う環境からコメの麺である米線(ミーシエン)やキノコ類、虫料理など名産が多い。そのなかでもプーアル茶は世界で広く愛飲される一品だ。豊かな香りの一方で、マネーゲームのきな臭さも漂う。

雲南省昆明の「MAPCHAプーアル茶館」は湖のほとりで茶を楽しめる人気スポットだ。春や秋に摘みたての茶から、数年熟成した茶葉までそろえる。価格は1ポット68元(約1千円)程度。周辺の飲食店ではラーメン1杯が10元以下なので、ちょっとしたぜいたく品といえる。

早速、樹齢数百年超の木から摘んだというプーアル茶をいれてもらった。乾燥した茶葉を何度か湯でなじませ、本番の湯を注ぐと次第にカラメルのような濃い色に染まる。一口すすると思いのほか淡く、さわやかな甘みが広がった。女性店員は「湯温や時間によって味に違いがでる。好みは人それぞれだが、これぞと思う味を保証するのが茶館の役割」と話す。

情報サイト「プーアル茶ネット」などによると2018年のプーアル茶の生産量は14万トン超だった。直近5年間で5割増と急拡大している。急増の裏にはここ数年でプーアル茶が投機対象となっている事情がある。

財テクに興味のある個人が電子商取引(EC)サイトなどで数キログラムをまとめて購入、1~2年後に転売するのが投機的売買の典型例だ。1年間ほど自宅で寝かせたプーアル茶を2倍以上の価格で売りさばき数千元の稼ぎを得たという人もいる。熟成により味が深まるとされるプーアル茶ならではの現象だ。

05~07年ごろにも資産家と卸売業者が中心となった「プーアル茶バブル」があった。今回のバブルはECの発達で、ひときわ熱を帯びる。業界団体などからは実需を大幅に超えた収穫により貴重な古木が傷むことを懸念する声も挙がる。何事もやり過ぎは苦い結果を生むだけのはずだ。

(広州=比奈田悠佑)

[日経MJ 2019年7月15日付]

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