医学部で出会った『ファウスト』 きれいな言葉に魅了関西棋院理事長 正岡徹氏

正岡家のルーツを探り歴史を勉強。一族の会も定期的に開催。

60歳を過ぎてから「正岡家」のルーツに興味を持った。12世紀の四国・大三島に始まり、その後、豊臣秀吉の四国征伐により、主とたのむ河野氏が消滅し、正岡家もちりぢりバラバラ……といったことがわかったが、最大の収穫は、何人かの同好の士と出会ったこと。これを契機に2004年7月には140人が集まって「正岡祭り」を開催。その後も4年ごとに開き、最近はミクロネシアの正岡さんまで駆けつけてくれる。

『伊予河野氏と中世瀬戸内世界』は正岡家の歴史を知るうえで参考になった。自分とのつながりは不明だが『エッセイストとしての子規』など正岡子規関連の本も読んだ。『モーゼと呼ばれた男 マイク・正岡』は、戦時中、日系アメリカ人のリーダーとして功績のあった人物の半生を描いたものだ。

囲碁が発達障害の子供の療育に役立つことも検証していきたい。

囲碁は将棋、麻雀(マージャン)と共に父から仕込まれ、アマ6段の腕前。17年、ご縁があって関西棋院の理事長になった。『高尾紳路 不惑の出発』は、40歳で名人を奪還した高尾九段が自らの半生を振り返ったもので、師匠の藤沢秀行名誉棋聖とのエピソードも収められて面白い。

囲碁はボケ防止に役立つといわれるが、医学的に発達障害の子供の療育に役立てようという研究も進む。プロ棋士らを派遣して実験的に打たせたところ、対人恐怖症の子が2年、囲碁を続けたら学校に行くようになったという事例も出てきた。私の専門分野により近い話としては、「臍帯血移植が発達障害に治療効果があった」という論文を最近見て、続報に期待している。


(聞き手は客員編集委員 木村亮)

[日本経済新聞朝刊2019年6月15日付]

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