デジタル店こそ「人の力」 接客で流行・ニーズつかむGU 上原典子さん

GUの上原典子さん
GUの上原典子さん

ファッションを自由に――。ファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「GU(ジーユー)」は、「ユニクロ」とは異なるコンセプトで業績を伸ばしてきた。2018年に東京・原宿で開業した新店舗の上原典子店長(31)は入社から一貫して店舗運営にかかわり、多くを「売れる店」にしてきた。GUの新卒1期生として黎明(れいめい)期から支えてきたブランドのさらなる成長をけん引しようとしている。

「来店した時に新規顧客かリピーターかわかるんです」。上原さんは当然のように話すが、普通はそう簡単ではない。GUは百貨店ブランドのように店員が積極的に接客するブランドではないが、上原さんは来店客の表情や動き方などに注目。洋服に関する悩みや要望を聞きながら、お薦めや季節の一押しを提案する。心がけるのは洋服選びのストレスをなくすことだ。

全国初の次世代型

原宿の新店舗「GUスタイルスタジオ」は全国初の次世代型店舗。店内で自分のアバター(分身)を作り、コーディネートを疑似体験できる。気に入った洋服があればネット通販サイトで購入する。来店客は陳列されたアイテムのQRコードをスマートフォンで読み取れば、商品の詳細情報を見ることができる。

通常以上に接客の必要性が乏しいようにも思えるが、「接客が重要なことは変わらない」。デジタル技術は来店者の買い物を便利にして効率運営にもつながるが、「最新トレンドや顧客の声は接客でこそ得られる」からだ。

上原さんの考え方の背景には11年に入社してからの数々の経験がある。もともと人を喜ばせることで好きで、日常生活になじみのあるファッションや音楽といった業界に関心を持っていた。大学時代のアルバイト経験も生かそうと希望したのはユニクロだったが、採用面接で落ちてしまった。

そこで働いていたユニクロの店長に紹介されたのがGUだった。GUはユニクロの「兄弟ブランド」として「ファッション」を前面に打ち出そうとしていた。そのベンチャー気質やチャレンジ精神が気に入った。

やる気満々で入社し、神奈川県の店舗に配属されたがすぐに壁にぶつかる。「ファッションを売る」といっても、当時のGUの商品はユニクロとの違いがあまり出せていなかった。店頭ではただ売ることで精いっぱいだった。

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