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同郷の信長に思い入れ 「宮中歌会始」で人生に区切り 石油天然ガス・金属鉱物資源機構理事長 細野哲弘氏

2019/4/20付 日本経済新聞 朝刊

細野哲弘氏と座右の書・愛読書
歴史書のおもしろさに目覚めたのは15歳の春だった。
ほその・てつひろ 1952年岐阜県生まれ。京大経卒、通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁長官やJECC社長を経て、2018年4月から現職。

『三国志』を読んだのは、郷里の岐阜で高校受験を終え、発表を待つまでの間です。読み始めると物語の展開と躍動感に引き込まれて止まらない。数日間で一気に読み通しました。

大学に入ると司馬遼太郎にひかれました。司馬は22歳のときに無防備な戦車の小隊長として終戦を迎えます。日本はなぜこのようなばかな戦いをしたのか。この思いをバネに国を憂える文章を書き続けます。

身の丈を知る、合理的な発想や行動でつくりあげた明治の時代と、目をそむけたくなるような奇態を演じる終戦までの昭和の間には断絶があるとしか思えない。その根っこはどこにあるのか、なぜ修正できなかったのか。司馬自身が答えを出せずに身もだえた軌跡と苦悩の中身に共感を覚えます。

彼の小説はほぼ全て、読みました。どれもおもしろいのですが、『「明治」という国家』と『「昭和」という国家』の2冊の評論には、日本や日本人は明治のころと比べて何が変わり、変わっていないのか、22歳の自分が抱いた疑問に答えを出すために書き続けてきた彼の考えが詰まっています。

私は1976年に通商産業省(現経済産業省)に入りました。「この国のかたち」を考える司馬の姿勢や問題設定は、進路を選ぶにあたり通底するものがあったといえるかもしれません。

歴史をたどることは未知の将来に備える訓練だと考えている。

入省間もないころ、通勤する地下鉄の中で『日本の歴史』と『世界の歴史』を読み始めました。1巻ずつ買い足し42巻を数年かけて読み終えました。

人間は歴史に学ぶしかありません。歴史本を読むということは、当事者の立場に立って疑似体験する行為だと思います。当時の人の立場に自らの身を置き、なぜこうなったかを考えることが歴史をひもとく醍醐味です。この判断に至ったのかを突き詰めようとすると、さらに周辺の情報が知りたくなり、違う本を読み始め、ますます歴史にのめり込むループに入ります。

90年代に駐在したドイツでの経験も刺激となりました。赴任したのはベルリンの壁が崩れ、東西ドイツの統合が実現した直後。当時のコール首相は、通貨マルクを捨てフランスに譲歩してでも、戦争を避けドイツを欧州に溶け込ませるべきだと考えていました。

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