ストレスに独り言のすすめ 考え整理、不安や怒り制御責める言葉NG

「セルフトーク」は米国を中心に海外で研究が進む。大舞台で実力を発揮できるよう感情のコントロールを身に付けるためにスポーツ選手らが専門家から指南を受けることも多い。

コーチング技術などを教える兵毛孝一さん(60)は「気が進まないことでも『これをやることにする』などと言い換えると脳が良いイメージを作り出し、ストレスの原因に対する見方を変えられる」という。

自分や他人を責めるような言葉を使わないことが大切だ。兵毛さんは「『自分はダメだ』『あいつは嫌いだ』という言葉をつぶやいていると、コミュニケーションがうまくいかなくなる恐れがある」と指摘。「自分や相手の価値を認める言葉に置き換え、ストレスを生まない精神力を身に付けてほしい」と話す。

冷静に行動するための心理トレーニングとして知られる「アンガーマネジメント」も、怒りの制御法の一つとして独り言を取り入れている。

日本アンガーマネジメント協会(東京)の安藤俊介代表理事は「怒りのピークが持続するのは6秒間程度。その間に『大したことではない』『何とかなる』と怒りを鎮める言葉をつぶやいて」と助言。「セルフトークは自分を第三者として客観視できる効果があり、習慣にすれば、冷静に対応できるようになる」と話す。

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場所とタイミング 考えて

周囲との調和を重んじる日本社会では、独り言をつぶやく場所やタイミングに注意が必要だ。つぶやきが多いと、周囲から「変わった人」と思われて人間関係に支障を来す恐れもある。独り言の内容や回数によっては、うつ病や統合失調症などが疑われることもある。

ゆうメンタルクリニックのゆうき総院長によると、独り言は孤独を感じるとつぶやく傾向が強くなる。独り言自体は悪いことではなく、とっさに出る無意識の独り言は問題ないという。

ただうつ病などで症状が深刻化すると、独り言の回数が増えたり危険な内容を口にするようになったりする。被害妄想や誰かを攻撃する言葉のほか、独り言ではないが突然笑ったり怒ったりする場合は、病気が疑われるという。

ゆうき総院長は「独り言のように見えても、本人は誰かと会話していると思っているケースがある。自分で症状に気付くのは難しいため、周囲の人が変化を察知して医療機関の受診を促す必要がある」と指摘する。

(中川竹美)

[日本経済新聞夕刊2019年4月3日付]

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