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医師処方のスマホ治療アプリ まず禁煙向けが実用へ

2019/3/25付 日本経済新聞 朝刊

医師が薬の代わりにスマートフォン(スマホ)のアプリを処方する。近い将来、こんな光景が普通になるかもしれない。病気治療を目的としたアプリが医療機器として認められる仕組みに変わり、2020年にも第1弾の禁煙治療用アプリが実用化される。患者に助言して生活習慣の改善などを促す。不眠症などの治療にも役立つことが期待されるが、すべての患者にアプリの効果があるわけではないので、医師と相談してから使うかを決めよう。

「ガムをかみましょう」。ある昼時、禁煙に挑戦している男性のスマホ画面にこんなメッセージが届いた。助言に従いガムを1枚かむと、たばこを吸いたい欲求が収まった――。

ニコチン依存症を治療するための助言を受けられるアプリ=キュア・アップ提供

キュア・アップ(東京・中央)が開発した禁煙治療用アプリが20年にも登場する見通しだ。患者はこれまでのように治療薬を受け取るのではなく、病院でアプリが処方され、ダウンロードして自宅に持ち帰る。

アプリの使い方はそう難しくはない。体重や服薬状況、たばこを吸いたい気持ちの強さなどを入力する。たばこへの欲求を和らげるためにその都度アプリが助言し、患者が従ううちに禁煙に導くという仕組みだ。

■禁断症状を判断

治療を始めてからの日数や過去の入力内容から、禁断症状が強くなりそうな時期などをアプリが判断する。寝起きや食後などたばこを吸いたくなるタイミングに、アプリが「深呼吸をしてみましょう」などと助言し、励ましてくれる。

従来の健康支援アプリと違うのは、医師のノウハウや学術論文など医療現場の知見を基に助言するところだ。患者の生活習慣や体調に応じ、個別に助言の中身が変わる。スマホ画面の向こうに医師が常にいて助言をくれるイメージだ。考え方や生活習慣の変化を促し、ニコチンへの心理的依存から脱却させる。

「これまでの治療薬は患者の考え方や生活習慣には介入できなかった。アプリなら可能だ」。キュア・アップ社長で医師の佐竹晃太氏は話す。一般的な禁煙治療プログラムは開始半年後の禁煙継続率が約40%だが、アプリだと約60%に高められるとみている。

14年の法改正で、スマホアプリなどが「ソフトウエア医療機器」の分類で医療機器として承認を受けられるようになった。

これまでも食事や運動などを記録して生活習慣の改善を促すアプリはあったが、健康支援が目的で、治療をうたうことはできない。一方、ソフトウエア医療機器のアプリは医師が処方するため、薬や医療機器と同じように発売前に安全性や有効性を確かめる臨床試験(治験)が必要となる。

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