霞さんは「農家は日中の忙しい時間を割いて来てくれる。自分が責任を持ってマネジメントしなくては」と反省。それ以降は引き渡しも店舗で自らが担うことにした。店舗との連携を密にするため、店員とも頻繁に商品情報や顧客についてやりとりするようになった。「自社店舗にも営業する気持ちで回る。店と農家の懸け橋にならなくてはいけない仕事だ」

そんな努力が少しずつ実を結び、実績にもつながりつつある。農家は農作物の種類が違っても、横のつながりが強く、商品を共同購入する場合も多い。霞さんは「得意先が『実は同期がいてね』と知り合いを紹介してくれる機会が増えた」という。

霞さんは休日でも農家を訪ねる。「実際の農作業を見せてもらえるようお願いすることもある。用途や仕様を覚えるだけでなく、商品がどう使われ、商品のどこが評価されているのか、現場を自分の目で確かめなくては」

ある米農家は「営業で来る人はいないよ」と驚き、種まきの作業を一部始終見学させてくれた。機械でトレー上に適量の土や肥料を入れ、等間隔で種をまく工程が新鮮だった。会話のなかで商品への不安や改善してほしいポイントを自然と聞き出すことができ、次の商品提案につなげている。この米農家では、カインズへの注文が2割増えた。

1993年、人事部やOBの話から「自分を成長させられる会社だ」と考えて入社を決めて以来、店舗、仕入れ、営業とカインズが推奨する「配転育成」で経験を積む。霞さんは「長くいた仕入れ担当と違い、営業はお客さまの都合が最優先。やっと慣れてきてやりがいも感じている。異動があって良かった」と話す。

(池下祐磨)

かすみ・なおゆき
 1993年カインズ入社、吾妻店(群馬県東吾妻町)に配属。96年本社勤務となり、商品の仕入れ担当に。2017年に外商部に異動、営業チーフとして千葉県内の農家へ資材や農薬を販売。群馬県出身。

[日経産業新聞2019年2月28日付]

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