時代で変わるひな人形 素材にスワロフスキーも

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その段飾りの最上段の2人を何と呼んでいるだろうか。近年「お内裏様」=男びな、「おひな様」=女びなとされることが多いが、「内裏びな」とは男女一対(男びなと女びな)をさす江戸前期からの言葉。おひな様とはひな壇の人形全てをさす。

こんな勘違いが生まれたのはなぜだろう。「サトウハチロー作詞の童謡『うれしいひなまつり』があまりに有名になったから」と是沢准教授は推測する。「お内裏様とおひな様、2人並んですまし顔」の歌詞は親から子へと超え歌い継がれている。

昨今はマンション住まいなど、住環境の変化で「段飾りではなく、内裏びなのみを買い求める人が多い」と人形問屋・久月の横山久俊さん。最初から男女一対しか知らない世代には、そんな勘違いも当然に思えるのかもしれない。

洋室になじむデザインも人気で衣装素材にスパンコールやレザー、スワロフスキーも。「小さくても高価なものが人気。単価は上がっている」(高島屋MD本部の田所博利さん)。今年は元号も変わることから、天皇陛下が即位時に着る赤茶色の黄櫨染(こうろぜん)の衣装にも注目が集まる。社会やライフスタイルに合わせ形を変えるひな人形。新元号時代に愛されるのはどんなひな人形だろう。

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「入り目」で温和な表情に

ガラス玉が入った「入り目」で優しい表情が人気

ひな人形の顔も変化している。例えば目。古典的なひな人形は筆で書く「描き目」といわれる切れ長の目だ。しかし最近は大きめの目で温和な様子を感じさせる、ガラス玉入りの「入り目」が増えた。 目の大きさにも地域差がある。「京都の人形は関東よりも目が細い」と京都桂甫作安藤人形店のひな人形着付師・安藤桂補さん。京都では平安の絵巻物に出てくるような切れ長の目が模範。顔もまん丸ではなく細めで平安の美人像に近い。

高島屋の田所さんによると近年は愛らしい表情が好まれる。人形を選んでいた40代の女性は「以前は少し怖い印象だったけど、かわいいものが多い」と話す。リカちゃんひな人形もある。買う時は少し離れて眺めると雰囲気が良く分かっていい。

(大城夏希)

[NIKKEIプラス1 2019年2月9日付]