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突然の腹痛や下痢どう防ぐ ストレス緩める生活習慣を 半身浴で汗をかく/薬持ち歩き安心感

NIKKEIプラス1

2019/2/9付

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受験シーズンもたけなわ。緊張感を抱える受験生に限らず、商談や面接など大事な場面に腹痛や下痢を起こす過敏性腸症候群に悩む人は多い。原因はストレス。予防法や治療法、とっさの対処法を知っておこう。

ストレスがかかるとおなかが痛くなり、トイレに行きたくなる――。過敏性腸症候群は、内視鏡などで調べても腸に炎症や潰瘍といった異常が見られないのに、腹痛を伴う便通異常を起こす慢性の病気だ。2008年の調査によると、国内の推定患者数は約1200万人に達する。

症状別に見ると、下痢型が29%、便秘型が24%、両方起こる混合型が47%を占める。男性は下痢型が、女性は便秘型が多い傾向にあるという。

腹痛が起こるきっかけはストレスだ。「消化管の運動は自律神経でコントロールされている。ストレスが原因で自律神経が乱れると便通に異常が起こり、下痢や便秘になる」と慶応義塾大学医学部医学教育統轄センターの鈴木秀和教授は説明する。

「緊張すると下痢をしやすい」という程度なら深刻に考える必要はないが、通勤時や仕事中など症状が頻繁で日常生活に支障を来すなら、内科や消化器内科を受診したほうがよい。下痢型には腸の動きを抑えるラモセトロン(商品名イリボー)など、便秘型にはリナクロチド(同リンゼス)などが処方されることが多い。

ただし、「自律神経の乱れが原因なので、単に薬だけで治る病気というわけではない」(鈴木教授)。日ごろからストレスをためないように注意し、自律神経のバランスを整える生活を心がけることが必要だ。

自律神経を安定させるには、規則正しい生活が基本。毎日同じ時間に起き、同じ時間に食事を取り、同じ時間にベッドに入るようにしよう。

定期的に体を動かす習慣を持つのも大切だ。さくらライフ錦糸クリニック(東京・墨田)の松枝啓院長は「体を動かす機会の少ない現代人にとって、運動は一番のストレス解消法」と話す。「体温が上がり、汗をかくことで自律神経のバランスが整う」。半身浴やサウナで汗をかくのもおすすめという。

さらに「食事で食物繊維を積極的にとってほしい」と松枝院長は話す。特に、大麦などに含まれる水溶性食物繊維は有効。腸内で水分を吸収して下痢を防くほか、便を軟らかくするので便秘も改善する。下痢型の人は牛乳やアルコール、香辛料といった刺激物は控えたほうが無難だろう。

過敏性腸症候群に悩む人は、神経質で完全主義な傾向が見られる。素晴らしい成果を出そうとするあまり、必要以上のストレスを感じやすい。「常に100点を目指すのではなく、75点でいいと考えて」と松枝院長は助言する。

受験や試合、人前での発表など強いストレスがかかる場面は、最も症状が起こりやすくなる。緊張をやわらげるために、時間的余裕を持って行動しよう。時間に追われると、ストレスが一層強くなる。

試験会場など緊張が予想される場所には早めに到着し、その場の空気になじんでおく。いざというときに備えて、トイレの場所もしっかり確認しておこう。

突然の便意が心配な人は、市販されている即効性の下痢止め薬を持ち歩くようにする。「常用すべきではないが、持っているだけでも安心感が得られ、結果的に症状が抑えられる」(鈴木教授)

電車の中や試験会場で症状が起こったときは、くれぐれも無理をしないこと。我慢して悪化させるよりも、まずはトイレに行こう。生活リズムや食事に気を配りつつ、重要なイベントがあるときは特に、気持ちと時間にゆとりを持つことが大切だ。

(ライター 伊藤和弘)

[NIKKEIプラス1 2019年2月9日付]

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