「がん5年生存率」の読み解き方 患者数・年齢に注意

2018/10/22付
写真はイメージ=PIXTA
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がんと診断された患者が5年後にどれぐらい生存しているのか。国立がん研究センター(東京・中央)は9月、がんの治癒の目安となる「5年生存率」について、全国230病院について進行度別のデータを初めて公表した。病院間で治療成績に差があるものの、単純な優劣の比較はできない。患者数による誤差や平均年齢、現在の治療法との違いなど読み解く際の注意点をまとめた。

同センターは治療の地域拠点となる「がん診療連携拠点病院」などの251病院で2008~09年に診断、治療した約50万人分の症例を集計。公表の対象は胃、大腸、肝臓、肺、乳房の主要な5つのがんだ。

公表を了承した230病院の個別データを同センターがん情報サービスのホームページ(http://ganjoho.jp)で掲載している。データはトップページの右上にある「がん登録・統計」をクリックし、「お知らせ」の9月12日の発表資料にある。

「生存率報告書全文」をクリックすると、アクセスできる。ところが最初に表示されるのは「単純に生存率を比較して、その施設の治療成績の良しあしを論ずることはできません」という警告。そして「ご理解いただけますか」の問いかけに「はい」を選択しないと見られない。

個別の事情影響

国立がん研究センターの東尚弘がん登録センター長は「同じ部位でも病院間で生存率に差はあるが、受け入れ時の患者の状態など個別の事情が大きく影響する」と説明。「生存率に関する各病院のコメントは必ず見てほしい」と患者や家族らに強く求める。

実際にそれぞれの病院の5年生存率を見る際に注意すべき点は患者数(対象数)。患者数が少ないと、統計上の誤差が大きくなる。

例えば北海道がんセンター(札幌市)では乳がんの3期の5年生存率は85.4%だが、対象となる患者数は41人で、統計上の誤差の範囲は「93.1~70.3%」と20ポイント以上もある。この範囲内の病院とは治療成績に差があるとはいえないことになる。

公表されたデータでは「95%CI」の「high」(高い)と「low」(低い)が誤差の範囲だ。今回はこうした誤差の大きさから30人未満のステージ(病期)の生存率は算出していないが、100人を超えていても10ポイント程度の差は誤差の範囲の可能性があることは留意する必要がある。

病期ごとの「平均年齢」も注目したい。

年齢が高ければ、他の病気を抱え、手術ができない場合もあるほか、がん以外の理由で5年以内に亡くなることもある。平均年齢が高い病院では、がんの進行度が同じでも生存率が低くなる傾向にある。

国立がん研究センター中央病院(東京・中央)では、主要5部位の生存率はいずれも全国でトップクラスだ。だが平均年齢が70歳未満と若く、合併症がなく手術可能な患者も多い。同病院は「(外科手術など)観血的治療の割合が高く、70歳以上の高齢者の割合が低いことが大きく関係している」とコメントしている。

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