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電気とガスの小売りが自由化され競争が激しいエネルギー業界。福岡地盤の都市ガス大手、西部ガスの住宅エネルギー営業部の西野友二さん(34)は、マンションデベロッパーや住宅メーカーへの営業で社内随一の呼び声が高い。取引先のためなら「こんなことまでやるの?」と言われる「汗のかき方」に秘密がある。

「各住宅のエネルギーは都市ガス縛りでお願いします」。2015年末、北九州市の住宅メーカーを相手に、西野さんはこう言い切った。

住宅の開発段階から関わらなければ、オール電化との競争に勝ち残れない。当時担当したのは市内で進める約80戸の戸建て開発のプロジェクト。西部ガスが土地を仕入れ、都市ガス採用のカギを握る住宅メーカーなどと共同で進める事業だが、中にはオール電化がメインの業者もいた。西野さんが都市ガス化を強く主張すると案の定、「なんだ、あいつは」という反発もあった。

ここからが信頼を得るための勝負だ。何度も開かれる事業者間の会議では事務局を買って出て「議事録作りも全部やったし、意見が割れていたら裏で根回しする調整役も担った」。加えて懇親会や忘年会も企画して関係を深めるうちに、全戸で都市ガスを採用してもらえた。「7~8割にとどまることを許してはいけない」。そんな雰囲気を時間をかけて醸成した。

西野さんが一貫して重視するのは「汗をかく場所を見つける」こと。入社後5年間勤務した熊本時代、なかなか食い込めなかった地場の住宅メーカーがあった。それでも、業者が開発する分譲地で西野さん自ら作業服を着て草取りをしたり、販売会のテント張りを手伝ったりした。

そんな西野さんの様子を、業者の幹部は気づいていた。6区画を分譲する事業で、ガスで発電し、燃焼熱を利用して給湯する製品「エコウィル」を、「標準設備にする」と言ってくれた。これを皮切りに別の住宅でも採用してもらえるようになり、販売点数が伸びた。10年度には業績貢献賞を受賞した。

熊本から福岡に異動になる際には「福岡で自分が家を建てるときにはお願いします」と伝えた。実際にその住宅メーカーが家を建ててくれた。ここまでならプライベートな話で終わるが、相手の業者にとっては、福岡は未進出エリアだった。西野さんは土地情報の提供などを通じて、福岡展開を後方支援。今では展示場を出店し、テレビCMを放送するまでに成長した。

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