便利な切り干し大根 水を使わず栄養逃さず管理栄養士 今泉マユ子

2018/10/9

煮付けにすることが多い切り干し大根。中華サラダに入れたり、ニンニクでいためたり、ソースでいためて焼きそば風にしたりと、実は和洋中を問わず使える便利な乾物だ。

切り干し大根の歴史は古く、江戸時代から食べられていたようだ。宮崎県が主な産地で、秋の終わりから冬にかけて収穫した大根を細く切り、寒空の下で日光に当てて干す。関西では「千切り大根」と呼ばれるほか、縦に割いた割り干し、輪切りを干した丸切り大根、イチョウ切りにして干した花切大根などが各地で作られている。

切り干し大根からは、生のダイコンよりも多くの栄養素を摂取できる。天日干しでうまみや栄養が凝縮され、カルシウムや鉄分、ビタミンB群などの含有量が増えるからだ。食物繊維も豊富で、動脈硬化や大腸がんの予防効果も期待できる。特に不溶性の食物繊維が多く、腸のぜん動運動を活発にして、便秘の解消を促す。

切り干し大根を水で戻して使うレシピが多いが、長時間水で戻すと水溶性のビタミンB群やビタミンC、カリウムなどの栄養が失われる。栄養を余すところなく取るために、私は水で戻さずに食べることが多い。災害などで断水した時も、水で戻さない切り干し大根は重宝する。

ポリ袋に切り干し大根を30グラム、お茶または麦茶を100ミリリットル、塩昆布大さじ1を入れて、もみもみしたらすぐに食べられる。塩昆布のかわりに、赤シソのふりかけを使ってもよい。切り干し大根30グラムとトマトジュース100ミリリットル、ツナ缶1缶を缶汁ごとポリ袋に入れて同様にもみ、おろしニンニクとオリーブ油を少し足すと、イタリアンサラダになる。

栄養をさらにアップするには、ヨーグルトに漬けて戻すとよい。動物性たんぱく質とカルシウムを摂取できる。乳酸菌と食物繊維のダブルの効果で善玉菌が増え、腸内環境の改善を促す。朝ポリ袋で作って冷蔵庫に入れておくと、夕方帰宅後すぐに食べられる。

水で戻さない切り干し大根は歯ごたえがあり、かむ回数が増えて満腹感が出やすい。調理直後はやや硬めなので、歯が弱い私は20分ほどなじませてから食べている。

栄養豊富で便利な食材だが、保管には注意が必要だ。時間がたつと、切り干し大根の糖分とアミノ酸が反応して茶色くなり、独特のにおいが出る。温度や湿度が高いと変色しやすいので、なるべく湿気を避けて冷暗所で保管する。料理を白く仕上げたい場合は、購入後なるべく早めに使おう。

今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。

[日本経済新聞夕刊2018年10月9日付]

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