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不妊治療、ひとりで悩まないで 自治体が相談窓口整備 肉体的つらさ・仕事との両立・金銭負担…、悩みは多岐に

2018/8/8付 日本経済新聞 夕刊

写真はイメージ=PIXTA

我が子を切望しているが、なかなか恵まれない――。結婚や出産の高齢化などに伴い、いまや子どもを授かった夫婦の5.5組に1組が不妊治療を経験している。各都道府県で相談窓口の整備が進むなど、不妊治療の心理的、肉体的な負担を軽減するための支援体制がようやく整い始めた。

7月上旬、埼玉県越谷市のスーパーや100円ショップが入る雑居ビルの一室に、男女十数人が集まった。「体力的にも金銭的にも限界がある。不妊治療を諦めて、里親になることを考え始めた」。男性が穏やかな表情で話し始めた。

NPO法人Fine(東京・江東)が主催する「おしゃべり会」での一コマだ。不妊治療を受けたことがある人たちが、自らの悩みや生き方について話し合う。

「5年も治療を続けてきて今年40歳になった。区切りをどうつければいいのか」「子どもを授かることしか考えられない状況がつらい」――。

日本産科婦人科学会の調査によると、2015年に体外受精をして出産に成功したケースは11.7%。治療の肉体的なつらさや心の不安、仕事との両立の難しさ、金銭的な負担、治療中止の決断……。Fine理事長の松本亜樹子さんは「職場での人間関係、治療のやめどきなど話題は多岐にわたる」と話す。人に言えない悩みを抱えて苦しむ人は多い。

越谷の会では埼玉県による里親制度の説明や里親の体験談もあった。参加者の一人は「不妊治療を続けるか迷っている。里親の話も聞けてよかった」と話す。

不妊に悩む人たちが集まり里親制度について学んだ(埼玉県越谷市)

不妊治療について周囲に相談できない人は多い。17年度に厚生労働省が働く人を対象に調べたところ、不妊治療を受けている人の半数は職場に治療の件を伝えていない。その理由として5人に1人が「理解を得られないから」と回答した。

「年齢が上がるにつれて、妊娠の確率はがくんと下がります」。出産に向けた啓発に力を入れている大阪府は6月、医師を招き「35歳からの治療・妊娠・出産」をテーマにした公開講座を開いた。男性の参加も多い。

「年齢による限界は避けられず、妊娠できてもリスクが高い」。今回の講師で自らも不妊治療にあたるHORACグランフロント大阪クリニック(大阪市)の浅井淑子副部長はこう話す。不妊治療は身体的にも精神的にも負担が大きく、周囲のサポートが欠かせない。

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