セダンのようにSUV操る 顧客の声からヒット生み出す
横浜ゴム社長 山石昌孝氏(上)
新中期経営計画を発表する山石昌孝社長(2018年2月19日、東京都港区の横浜ゴム本社)
横浜ゴムの山石昌孝社長(56)は、在職中に慶応大学大学院で学んだ。
人事部時代にビジネススクールへの研修制度を作り、自ら志願して2年間勉強しました。復職後、当時の人事部長に異動先を配慮してもらえました。
PC第一マーケティング部では、赤字だった北米事業と多目的スポーツ車(SUV)向けのタイヤ事業の立て直しを任されました。市場ではトヨタ自動車の「RAV4」やホンダの「CR-V」などの小型SUVの販売が好調でした。
当時は消費者が小型SUVを支持する理由が分かりませんでした。当社は走り屋気質の社員が多く、趣味性の高い製品の開発に熱中してしまいがちだったのも一因だったと思います。
消費者の声を直接聞く機会を得る。
やまいし・まさたか 86年(昭61年)早大教育卒、横浜ゴム入社。96年慶大院修了。15年取締役、16年取締役常務執行役員。17年から現職。東京都出身。
当時の部長はスポーツカー向け高級タイヤブランド「ADVAN」の生みの親、水野雅男さんでした。水野部長から「ビジネススクールで学んだ経験を試してみても構わない」と言っていただき、かつて学んだ山根節先生のもとへ相談に行きました。
先生から利用者の自宅を巡り、生活実態や商品の使われ方を把握し、購入した理由を分析する手法が適しているとの助言をもらい、聞き取り調査をしました。
SUVの利用者は若い男性が中心だと思っていましたが、実際には半数以上が主婦でした。車高が高い方が運転しやすく、買い物の荷物を腰をかがめずに車に積めるからだそうです。