バブル崩壊後の債権回収 逃げぬ心鍛える
関西エアポート社長 山谷佳之氏(上)
決算を発表する関西エアポートの山谷佳之社長(2018年6月7日、大阪府泉佐野市)
オリエント・リース(現オリックス)に入社した山谷佳之社長(61)の最初の仕事は、製造機器などのリース営業だった。
昼間にオフィスにいると、上司からなぜ席にいるのか聞かれるわけです。「今日は行き先がありません」と答えると、「行き先がないなら教えてあげよう」と訪問先リストを渡されました。飛び込み営業をしてこいと。リース事業は受注から資金の回収までやって初めて仕事になることをたたき込まれました。
1988年に北大阪営業所を開設。営業所長を務めた。
やまや・よしゆき 80年神戸大農卒、オリエント・リース(現オリックス)入社。オリックス信託銀行(現オリックス銀行)などグループ会社のトップを歴任。15年から現職。大阪府出身。
会社からは新規開拓して業績を上げてほしいと言われました。当時はバブル最盛期。不動産価格上昇の波が北大阪まで来ていたため、不動産担保融資で営業成績を伸ばしました。社内の最優秀賞をもらいましたね。ところがバブル崩壊で返済が滞り始めます。そこで新人時代の教訓が生きるわけです。
実は不動産価格の高騰を見ながら、下落に転じた場合にどう回収するかを考えながら融資先を選んでいました。銀行や系列のノンバンクが融資しない個人の地主を集中的に営業したのです。結果、1件当たりの融資額がさほど大きくなかったことから個人資産を処分して返済してくれた顧客も多く、ほぼ回収できました。