脳の血管が詰まって起こる脳梗塞は、梅雨時から8月にかけての夏に発症する人が増えるという。いざという時に備えて、脳梗塞の原因や予防のポイント、危ない兆しの見極め方などを知っておこう。
脳梗塞とは脳の血管に血栓(血液の塊)が詰まり、血流が途絶えることで、脳の組織が死んでいく病気。原因によって3つの型に大別される。
1つ目は、脳の太い血管から枝分かれした細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」。ラクナはラテン語で「小さな空洞」という意味だ。
2つ目は、頸(けい)動脈や脳の太い血管に血栓ができて詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」。アテロームとは、血液中のコレステロールなどが血管壁に入り込んでできるドロッとしたかゆ状の塊のこと。血管の内部を狭くするほか、血栓の原因にもなる。
3つ目は、心臓にできた血栓が血流に乗って脳に運ばれ、太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓(そくせん)症」だ。ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化が要因となり、心原性脳塞栓症は心房細動によって起こることが多い。
とりわけ夏に発症しやすいのが、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞だ。東海大学医学部(神奈川県伊勢原市)神経内科学の滝沢俊也教授は「6月から増え始めて8月に最も多くなるので、今から注意してほしい」と話す。