部屋干し 浴室なら移動ムダなし
洗濯家 中村祐一
曇天が続いたり日が短かったり、地域によっては雪が降ったりと、冬場は洗濯物を乾かすのに一苦労だ。この時期はやむを得ず室内に干しているという人も多いだろう。実は筆者は、一年中部屋干しをしている。多くのメリットがあり、部屋干しこそが最高の干し方だと思うからだ。その魅力と理由を紹介したい。
戸外に干すと、洗濯物は太陽光の紫外線にさらされる。紫外線が持つ除菌効果を期待できる一方で、皮膚と同様に衣類も日焼けしてしまう。色があせたり、繊維がもろくなったりして、結果的に服を傷めかねない。
洗ってキレイにした服に、屋外の空気中に浮遊している花粉や排ガス、土ホコリなどの汚れが付く可能性も大きい。衣類がぬれた状態だと、汚れはより付着しやすくなる。窓の外側と室内側のどちらがより汚れやすいかを考えれば、答えは明白だ。
外干しのマイナス面を避けられるのに加えて、部屋干しには天気や時間に左右されないという大きなメリットがある。筆者は妻と6歳の娘、3歳の息子の4人暮らしで、自宅でも洗濯を担当している。天気次第で洗濯ができないようでは、洗濯物の処理が追いつかない。仕事で日中は家を空ける筆者にとって、突然の雨に見舞われた場合も部屋干しなら安心だ。
洗濯物を家のどこに干すとよいか。筆者は浴室を干し場にしている。最大の理由は洗濯機の置き場所と浴室が近いから。洗濯機から出した洗濯物をすぐに干すことができる。
洗濯は「脱ぐ、洗う、干す、アイロン、しまう」という5つの工程に分かれる。この5つの作業場所をできるだけ近づけることで、洗濯の負担を大幅に減らし、時短を実現できる。
言い換えると「服の移動」を最小限にするのがカギだ。筆者宅と同じく洗濯機が浴室の近くにある場合、ベランダなど洗濯機から遠く離れた場所に干そうとすると、移動によってかなりのムダが生じる。
効率的に乾燥するという観点からも、浴室を使うのは理にかなっている。ぬれた洗濯物を乾かすのに最も重要なのは、空気を動かすこと。浴室には換気扇が付いているため、空気の流れが作りやすい。換気扇だけ回して、丸1日干しておけば乾いてしまう。自宅には浴室乾燥機があるが、急ぎの時以外ほとんど使っていない。
どうしても乾きにくい時は、扇風機やサーキュレーターなどを換気扇と併用するとよい。浴室乾燥機と比べて、コストを抑えながら乾かせるのでオススメだ。
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。
[日本経済新聞夕刊2018年2月6日付]
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