『スター・ウォーズ』最新作 老いた俳優に歴史の重み
1977年にジョン・ウィリアムズの曲に乗って第1作が登場した『スター・ウォーズ』は全6部作だった。
そのあと30年後の設定で新3部作がスタート。製作会社が20世紀フォックスからディズニーに交代、第1弾『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)にはフォースのパワーを持つレイ(デイジー・リドリー)が登場。銀河系に残る唯一のジェダイ騎士ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)に巡り会って新たな扉が開くのだ。
続く第2弾の今回はルークが本格的に帰って来る。レイから反乱軍への協力を求められて拒むルークはジェダイの終焉(しゅうえん)を認識、父親ハン・ソロを殺して暗黒面に堕(お)ちたカイロ・レン(アダム・ドライバー)を悪から引き戻そうとしていた。
正義のレイと完全な悪へのためらいに揺れるかに見えるカイロ、ルークの3者を通して描かれる世代の交代。ルークの妹レイア姫(キャリー・フィッシャー)率いる反乱軍のために闘うパイロットのポー(オスカー・アイザック)、整備工の娘と彼女の支えで反乱軍のために闘う元敵側兵士のフィン(ジョン・ボイエガ)。世代交代の一方には忠誠と自己犠牲がある、という脚本を書き、監督したのはまだ新人に近いライアン・ジョンソンだ。
家族の愛と憎悪、若い友情を中心に展開するドラマは単純だが、そこには同じ俳優の演じる老いた人物がその後を見せることで歴史を感じさせる重みと懐かしさがある。映像は衝撃の美を持ち、白い地表の惑星での戦闘を包む深紅の砂埃(すなぼこり)の美しさにはただ見とれた。
フォースの存在をかすかに感じさせる幼い少年に託される未来。第3作は2019年の公開。エンド・クレジットの〈我らのプリンセスを偲(しの)んで〉という亡きキャリー・フィッシャーへの惜別の言葉には深い哀(かな)しみを誘われた。2時間32分。
★★★
(映画評論家 渡辺祥子)
[日本経済新聞夕刊2017年12月22日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。