高齢化とともに支出が増える項目をもう少し詳しくみると、炊事などの家事サービス、リフォームやバリアフリー対応などの設備修繕・維持、医薬品があります。また果物や魚介類の支出が多いのも特徴です。一方、高齢者は自宅で過ごすことが多いため、交通、外食、通信、洋服などの支出は減っていきます。

――小売業などは高齢化にどう対応していますか。

興味深いのはコンビニエンスストアの動向です。大手チェーンの来店客の3分の1は50歳以上です。高齢者になると生活圏は小さくなっていきます。大都市圏ではコンビニは350~400メートルほどの間隔で設置されることが多いのですが、これは高齢者が疲れずに歩いて行くにはちょうど良い距離とほぼ一致します。

コンビニでは高齢化に対応した動きがみられます。例えばお総菜の品ぞろえ充実やイートインコーナーの設置などです。セブンイレブンが「近くて便利」というキャッチフレーズを打ち出したのもそうした背景があります。もう一つはダウンサイジング(小型化)です。牛乳やチョコレートが典型ですが、メーカーにとって原材料費の上昇を価格転嫁するのは難しいので、少量化により実質値上げをしているという事情もあります。

――コンビニ以外でもそうした動きはありますか。

どこまで戦略的に狙ったかは分かりませんが、コメダ珈琲店の店舗は朝早くに開店しゆっくりと時間を過ごせるとして、高齢者に人気です。

また宅配ボックスの普及も加速しています。従来の駅やコンビニだけではなく、設置箇所の密度をさらに高めようとする動きがみられます。いちいち自宅まで業者に来てほしくない高齢者と、人手不足に悩む宅配業者の思惑が一致した結果といえます。その関連では、米ウーバーテクノロジーズの宅配サービス「ウーバーイーツ」を利用する高齢者も増えているようです。

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