宇宙ビジネスの将来は? ベンチャー台頭、官民で連携
記者会見するアクセルスペースの中村社長(2015年12月、東京都文京区)
ベンチャー企業が2017年夏、ロケット打ち上げに挑戦したわね。これから宇宙関連のビジネスに取り組む民間企業が増えるのかしら? 海外ではどんな事業が生まれているの?
宇宙ビジネスの将来について、吉田恵美子さん(38)と国安陽子さん(45)が、吉川和輝編集委員に話を聞いた。
――ベンチャー企業が宇宙を目指していますね。
「実業家の堀江貴文氏が創業したインターステラテクノロジズが17年夏、民間単独では初のロケット打ち上げに挑戦しました。残念ながら失敗しましたが、17年内にも再挑戦する見通しです」
「17年末には、宇宙資源探査を手掛けるベンチャー企業のアイスペースが、インドのロケットで探査ロボットを月に送ります。国際的な民間月面探査レースに、HAKUTO(ハクト)というチームで参加するのです。米グーグルが主なスポンサーで、優勝したら2000万ドルの賞金を獲得できます」
「超小型衛星を打ち上げる取り組みも始まりました。大学発ベンチャーのアクセルスペースが、一辺60~80センチの衛星を約50基打ち上げ、これらを連携させて地球観測を行おうとしています」
「エンターテインメントも宇宙規模になりそうです。流れ星のもととなる粒子を小型衛星から放出し、大気圏に突入させて人工の流れ星をつくる計画を、ベンチャー企業のエールが進めています。順調にいけば、19年に最初のイベントが見られます」
――海外でも宇宙ビジネスが始まっていますか。
「日本より海外のほうが進んでいます。中でも先行するのは米国企業です。電気自動車の米テスラ最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏が創業したスペースXは、国際宇宙ステーションへのロケット輸送を担っています。アマゾン・ドット・コムCEOのジェフ・ベゾス氏がつくったブルーオリジンも有人ロケットを開発しています。両社はロケットの1段目を再利用するなど、先進的な技術にも挑戦しています」