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がんゲノム医療広がる 費用が課題、保険適用目指す

遺伝子調べ上げ個別に治療方針

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NIKKEI STYLE

人のゲノム(全遺伝情報)が解読されて14年が過ぎ、がん治療を中心にゲノム情報を活用した医療が進んでいる。患者のがん組織などをもとにがんに関連する遺伝子に異常がないか大量に調べて、治療方針を決める個別化医療の時代へと移りつつある。検査コストや受け入れ体制などに課題はあるが、より効果が高く、副作用が少ない医療が実現すると期待されている。

60代の女性Aさんは、多数の臓器にがんが見つかった。どこで最初にがんができたのかを調べるため、がん関連遺伝子を網羅的に調べる検査を受けることになった。最初にがんができた場所によって治療法が異なるからだ。

検査の結果、生殖細胞でBRCA2という遺伝子に異常が見つかり、卵巣がんだと判明した。この遺伝子異常には抗がん剤「オラパリブ」が効くことが知られているが、国内は未承認。仕方なく別の薬を使いながら承認を待っている。

がんのゲノム医療は一般に、患者のがん組織などを採取してがん関連遺伝子を大量に調べる。その異常に合わせて効果的な治療法を選択する。国内では、2015年から京都大学などで始まった。

遺伝子検査をすると、今後悪化する可能性が高いのかどうかも予測できる。膵臓(すいぞう)がんと診断された50代の男性は、手術をすべきか判断するため遺伝子検査をした。検査の結果、悪化する可能性が高いと分かり、手術はしないで抗がん剤だけで治療することになった。

北海道がんセンターは今年7月、「プレシジョン検査」と呼ぶ独自の遺伝子検査を開始した。手術で患者から切除した生体組織などを使って、がんに関連する160遺伝子を調べる。そのデータをもとに医師が治療方針を決める。

検査をしてから、結果を患者に説明するまでには約3週間かかるという。同センターは現状では、1週間に約6人検査している。公的保険がきかないため、患者は自費で65万円かかる。

ゲノム医療は始まったばかりで、さまざまな検査法が登場している。

国立がん研究センター中央病院は16年5月に「TOP-GEAR」というがん関連遺伝子を網羅的に調べる臨床研究を始めた。国立がん研究センターと遺伝子検査のシスメックスが開発した「NCCオンコパネル」と呼ぶ独自の遺伝子解析キットを使う。国際的な基準に沿って病院内に作った検査室で、1日あたり2人の遺伝子を調べている。

この検査法は114個のがん関連遺伝子の異常を約2週間をメドに解析している。今年5月までに治療の手立てがなくなった207人の患者を調べた。遺伝子の異常が1つ以上見つかったのは全体の約8割だった。ただ、その遺伝子異常に適した薬が見つかり投与された患者の割合は、約10%にとどまった。

藤原康弘副院長は「なんらかの薬が効くと考えられる遺伝子異常は、約半数の患者で見つかる。だが、国内での臨床試験(治験)の進み具合や患者の容体などによって、実際に薬を投与できる割合は下がってしまう」と説明する。

ゲノム医療は北海道大学や岡山大学、千葉大学などでも始まった。ただ、これらの大学の中には米国に患者の組織などを送って検査してもらう場合もあった。米国で先がけて開発、導入されたため実績がある半面、結果がわかるまでに4週間以上、費用も90万円近くかかるのが難点だった。

検査期間は国内で分析できる体制が整えば短くなる見込みだ。シスメックスが7月から国内拠点で遺伝子を解析する事業を始めるなど整備は進んでいる。ただ、検査費用の問題は残る。同社のNCCオンコパネルは試薬代だけで30万円かかる。人件費などを加えると自由診療では患者の負担は大きい。

同社は実施中の国立がん研究センターの臨床研究の成果などをもとに、早ければ来年にも体外診断用医薬品としての承認を申請するとみられる。今後、厚生労働省も保険適用とする遺伝子検査の範囲を広げるだろうと予想されている。

ゲノム医療の費用対効果はまだ明確にはなっていないが、余分な投薬や副作用への対応が減ることで、社会全体の医療費削減にもつながると期待されている。保険適用で患者の負担も減れば、全国に急速に広がることになるだろう。

◇   ◇   ◇

中核拠点で人材育成

北海道大学の秋田弘俊教授は「遺伝子診断を実施する医師や技師など様々な人材育成を急ぐ必要がある」と普及への課題を指摘する。同大では今年3月まで独自の遺伝子検査を自由診療で実施していたが、担当医が北海道がんセンターに移ったため、大学独自の検査は休止して外注に切り替えた。「がん関連遺伝子を調べて治療方針を決める臨床研究を早期に始めたい」と秋田教授は話す。

6月、厚労省の「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」が報告書をまとめ、今年度中に「がんゲノム中核拠点病院」を7カ所程度指定することになった。段階的に各都道府県の体制を整備する考えで、2年以内に「がんゲノム医療拠点病院」を、数年後には中核病院と連携してゲノム医療を提供する「がんゲノム医療連携病院」を設けることを検討している。

中核拠点は人材育成の役割も担う。がんゲノム医療に精通した医師のほか、遺伝子の異常に基づく治療を理解した看護師や薬剤師、病理と解析技術に精通した臨床検査技師、遺伝カウンセラーなどの育成を進める。

(西山彰彦)

[日本経済新聞朝刊2017年9月18日付]

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