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水虫で転倒しやすく? 歩き方に異変、高齢者注意 水洗い・保湿で予防/足の爪は短く保つ

NIKKEIプラス1

2017/9/16付 NIKKEIプラス1

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 多くの人を悩ませる水虫。たかが水虫と侮るなかれ。爪の水虫にかかると、下肢機能が低下して転倒するリスクが高まるという。毎日のケアで、完治・予防しよう。

 水虫の原因になる白癬菌はカビの一種。高温多湿の環境を好み、皮膚の角質に感染して水虫を引き起こす。長時間靴を履いている働く世代で悩む人が多いが、高齢者にとっても人ごとではない。

 文京学院大学の藤谷克己教授が一般成人と65歳以上の高齢者計159人を調査したところ、白癬菌を散布しているのは、64歳以下の9パーセントに対し、高齢者は55パーセントに達した。

 白癬菌が足の裏や指に感染すると足白癬に、爪の中に入り込むと爪の水虫「爪白癬」になる。爪白癬はかゆみなどの症状がなく、気付かない人も多い。進行すると、爪が白や黄色に変色し、厚くなったりボロボロになったりする。放置すると爪が変形する。

 問題は、水虫は命に関わらない疾患だと見過ごされがちなことだ。実は水虫が高齢者の転倒リスクを高める恐れがあると分かっている。

 早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授らが1万581人を対象に調査したところ、足の指や爪に水虫などの問題を抱えている高齢者で、過去1年間に転倒経験を持つ人の割合は、そうでない人よりも高かった。

 水虫や爪白癬など「足に疾患があると、足の指が地面に付きにくくなり、バランスを崩したり、すり足になったりして転倒する可能性がある」(中村教授)。

 足の爪は移動するときに重要な役割を果たす。「歩行時に足の指で地面を蹴るとき、足の爪には大きな力がかかる」と中村教授。ところが「爪白癬にかかると爪がもろくなるため、足先に力が入らずよろけてしまい、転倒するリスクを招く」と藤谷教授は指摘する。

 なかでも爪白癬になりやすい足の親指は、踏ん張るときに力がかかる場所だ。水虫で爪が弱ると、踏ん張れなくなって転んでしまう。さらに「水虫にかかった爪が剥がれることで、歩行困難に陥るケースもある」(藤谷教授)という。

 高齢者は特に注意が必要な水虫だが、「予防はシンプルで、完治も可能」と藤谷教授。一番有効なのは、1日1回足を洗って、原因の菌を取り去ることだ。

 白癬菌は水虫の人の足から剥がれ落ちた垢(あか)に数多く潜み、スポーツジムや介護施設など人が集まる場所でまき散らされる。足に付いた菌を放置すると、約24時間かけて角質に侵入し、感染する。

 せっけんを泡立てて指の間や爪の溝の周り、足裏をよく洗う。水で流してから、乾いたタオルで拭きとる。バスマットの共有は避ける。足の指の間を拭くのも効果的だ。ただし「消毒用アルコールでは菌は落ちない」(藤谷教授)。せっけんの方が殺菌作用が大きいという。

 足の爪は短く保つ。同じ靴を履いたり、靴下を長時間履き続けたりすると、足が蒸れて白癬菌の増殖を招くので、毎日履き替えよう。サンダルの素足履きでかかとがかさつき、菌が入りやすくなって水虫に感染する例もある。クリームで保湿を心がけたい。

 日ごろの足の使い方も重要だ。「歩き方を意識しないでいると、水虫は繰り返す」(中村教授)。歩行時はかかとと親指の付け根、小指の付け根の3点を意識して、かかとから足の指へ重心を移動する習慣を身につけたい。

 水虫は完治を目指せるだけに、皮膚科専門医による見極めが必要だ。毎日足を洗うことに加えて、菌を持つ人が自覚してしっかり治療を受けることが、他の人の水虫の予防にもつながる。

(ライター 高谷治美)

[NIKKEIプラス1 2017年9月16日付]

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