広告受注トップの女性エース 相手の懐に入り込むワザ
エン・ジャパン 末広麻紀さん
エン・ジャパンの売り上げの大半は転職サイトの「エン転職」事業が稼ぐ。同事業部(東京・新宿)で求人広告の営業をする末広麻紀さん(27)は2016年度に数億円規模を受注し、トップの成績を収めた。状況によっては顧客に競合他社の利用を勧め、それが次の受注につながることがある。提案力と正直さの組み合わせが信頼を勝ち得ると信じる。
16年4月。末広さんは警備会社の人事担当者に呼ばれ、「女性の警備員を増やしたい」との相談を受けた。少し考えた後、「でしたら、○○社への広告出稿をお勧めします」。思い切って同業他社に発注することを提案した。
ふだんから自社の転職サイトに登録している求職者の所属などを見ているなかで女性の警備員の応募は少ないだろうと判断し、その人事担当者に正直に話した。競合への出稿を提案することによって短期的な受注よりも長期的な関係づくりを重視した。
数週間後、その成果が表れる。同じ警備会社の人事担当者が他社が作った広告の原稿を手に末広さんに助言を求めてきた。「これ、本当に女性に響くのかな?」。末広さんは「私なら……」。育児との両立ができることを強調するなど、その場でいくつかの改善点を示した。人事担当者は次の男性の警備員の求人案件から末広さんに発注することを決めた。
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「この人、いいね。お客さんからそう思われたくて工夫しています」。末広さんが担当するのは年間の採用人数が多く、広告の予算も大きい企業だ。