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『スパイダーマン』 ヒーロー借りた学園ドラマ

2017/8/4付 日本経済新聞 夕刊

 マーベル・コミックが生んだ有名キャラクターの一員“スパイダーマン”は21世紀に入って繰り返し映画化された。2002~07年のサム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演の3部作。12~14年マーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド主演2部作が誕生。それに続く本作にはトム・ホランド演じる高校生ピーター・パーカー15歳のスパイダーマンが登場する。

東京・有楽町のTOHOシネマズ 日劇ほかで11日公開(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

 監督は長編3作目のジョン・ワッツ。アメコミ・ヒーロー物というより部活のノリの青春学園ドラマだ。

 ニューヨークの高校生ピーター(トム・ホランド)は近所の平和を守りつつ、アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・ジュニア)に憧れ、アメコミ・ヒーロー集団の“アベンジャーズ”入りを夢見ている。彼の正体を知るのは親友ネッドだけ。

 そんなピーターの敵はスタークを憎むトゥームスこと怪人バルチャー。初代バットマン役で知られたマイケル・キートンが骨太に演じて悪の匂いがべったりの彼は、ヒーロー気取りのピーターの鼻をへし折った。

 失意のピーターには学園最大のイベント“ホームカミング”開催の日が近づく。彼は憧れの上級生リズ(ローラ・ハリアー)をパートナーに誘った。

 当日、彼女を家に迎えに行ったピーターを待っていたのは……。ヒーローを高校生にしたのはこのシーンが撮りたかったから!?

 今回のスパイダーマンはすでに『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16年)にチラリと出演していて、本作はその続き。来年の公開が決まっている次回作は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』とアメコミ映画の勢いが止まらない。普通の人のドラマが見たい観客には複雑な思いが残りそうだが、アメコミ・ヒーローを借りて普通の学園生活を描くアイデアは悪くない。2Dと3Dで公開。2時間13分。

★★★★

(映画評論家 渡辺 祥子)

[日本経済新聞夕刊2017年8月4日付]

★★★★★ 今年有数の傑作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…

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