夏涼やかフルーツティー レシピ自在にジャムで華やぎ
暑い日が続くこの季節、フルーツティーで涼やかに過ごすのはいかが。果物の香りが爽やかで、果肉もおいしい。いつものティータイムがいっそう華やぐ。
「フルーツティーに決まりやルールはない」。鎌倉に店を構えるパティスリー「アンビグラム」の伊沢和明シェフは話す。紅茶は基本的にどんな果汁にも合う。組み合わせを打ち出し、そのおいしさが広く認められれば人気に火が付く。フルーツティーのトレンドはその繰り返しだ。
果物を選ぶ基準はただひとつ。果汁が出やすいものかどうか。伊沢さんは「たとえばブルーベリーはそのままだと果汁は出にくいが、カットすれば出る。しかし、切ると形が崩れてしまうため、フルーツティーには不向きだ」と指摘する。フルーツティーは見栄えにもこだわりたい。
今回はフルーツティーの中でも定番の桃、ライチ、フランボワーズの3種を使った。伊沢さんいわく、「この組み合わせは間違いない」。10種類ほどの茶葉をストックし、中国茶を個人輸入するほどのお茶好きが太鼓判を押す。
茶葉はセイロンティーの一種、キャンディを使う。アールグレイなどと比べてタンニンが少なく、果物の香りを邪魔しないためだ。アイスで仕上げる場合は最後に氷を入れるか、冷蔵庫で冷やすかの2パターンがある。伊沢さんは「すぐ飲みたいならば氷のタイプがおすすめ」と話す。
細かく切って果汁出やすく
まずはフルーツの下準備。桃は湯むき後、厚さ1センチメートルほどにくし切りに。フランボワーズは半分にし、ライチは皮をむき、果汁が出やすいよう数本の隠し包丁を入れておく。「細かくすれば果汁も出やすい」(伊沢さん)。お湯を沸かすのと同時並行でやれば、時短にもなる。
あとは紅茶をつくる流れと同じ。ティーパックをポットに用意し、お湯を注ぐ。茶葉1グラムに対して100ミリリットルが目安で、今回は1リットルつくる。2分半ほど蒸らし、茶葉を取り出してからフルーツを入れる。紅茶に香りを移すため、3分から5分置き、氷を入れてかきまぜれば完成だ。
水出し方式はタンニン抑える
一方、水出しでつくる方法もある。伊沢さんは「水出しはタンニンやカフェインを抑えられ、ごくごく飲むことができる」と話す。オレンジとレモンを輪切りにし、紅茶につけて一晩、冷蔵庫で寝かせる。かんきつは香りが強いため、ローズマリーを加えればアクセントが楽しめる。
フルーツティーに使う果物に制限はない。伊沢さんは「このレシピに縛られることなく、色々なもので挑戦してほしい」と話す。茶葉や水の量、蒸らす時間も好み次第。その上で伊沢さんは「ジャムを入れてもおもしろいかもしれない」と教えてくれた。
そこで、ジャムの作り方を教わりに、東京ガス「食」情報センターの杉山智美さんを訪ねた。杉山さんは「ジャムは魚焼きグリルで簡単につくることができる」と話す。コンロと比べて火力が強いため、短時間で仕上げることができる。また、片付けの手間も最小限に抑えられる。
今回はフルーツティーには不向きとされたブルーベリーで挑戦する。まず、ブルーベリーを二重にしたアルミホイルへ置き、砂糖と風味づけのレモン汁を加える。ブルーベリー100グラムに対して砂糖は30グラム、レモン汁は小さじ1杯だ。アルミホイルで包み、魚焼きグリルで約7分加熱すれば完成。できたては熱いので、開ける際は気をつけたい。
ジャムを小さじ1杯ほど紅茶に入れ、中で果肉をつぶせば、ブルーベリーの酸味が紅茶いっぱいに広がる。杉山さんは「この方法ならぶどうやりんごなど、どんな果物でもジャムにできる」と話す。魚焼きグリルのサイズを考えれば、一度に3種類ほどつくることも可能だ。
日持ちがしない点には注意したい。煮詰めていないため水分が多く、菌が増えやすいためだ。「つくるのは一日で消費できるぐらいの量がベスト」(杉山さん)
フルーツティーは紅茶だけでなく、果肉も味わいたい。スプーンですくいながら味わえば、コンポートのような食感が楽しめる。「チーズケーキなど味わいが単調なものと合わせれば、フルーツの香りを足すことができる」と伊沢さん。この夏はフルーツティーで乗り切りたい。
(田村匠)
[NIKKEIプラス1 2017年7月29日付]
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