機能てんこ盛り! 電子マネー対応革財布ベスト10
電子マネーが普及するなか、革財布が進化している。
斬新な機能を持つ財布はどれか。手にとって比べてみた。
極力モノを持たない「ミニマリスト」や断捨離などの考えが広がり、スマートな財布が人気だ。今回のランキングでは、紙幣の入れ方や小銭入れの構造などを工夫して小型・薄型化した財布が評価された。一方、ポイントカードなど持ち歩くカードが増えたことで、収納力があり一覧性もある商品も支持を集めた。財布に求める機能は、大きく分かれているようだ。
セレクトショップ「アシストオン」(東京・千代田)の店主、大杉信雄さんは「形は機能に追随するという『モダンデザイン』の考え方が、改めて革財布の世界に広がってきた」と指摘。「財布はライフスタイルの象徴。シンプルな財布を持つことで無駄なカード契約を見直すなど、ライフスタイルを変える契機になる」と話す。
財布選びのポイントについて、家事アドバイザーの矢野きくのさんは、「何をどれだけ持ち歩きたいかを最初にはっきり決めておく。出し入れする際に何アクションが必要かをカウントして機能を測るといい」と助言する。
ファイナンシャルプランナーの山口京子さんは「自分の財布も名刺入れより小さいが、決済アプリなどを活用して、日常生活に不自由はない」という。自分に合うスマートな財布を選びたい。
まるで「蜂の巣」カード入れ ノイインテレッセ
財布を開くとカードポケットが蜂の巣状に広がる。名付けて「ハニーセル」。側面部分を含めると23枚分にもなり、「ひと目で目的のカードを出し入れできる構造が秀逸。カードを多く使う人には最高の使い心地」(納富廉邦さん)。「ポイントカード類を全部持ち歩きたい人には良さそう。開いた時に中身が見渡しやすいので、管理も容易」(和田由貴さん)
自動車のステアリング部分に使う「ハイブリッドレザー」による耐久性も売り物で、「財布としての機能が全て備わっている王道の財布」(吉比浩さん)との評価も得た。
「小銭入れがしっかりしていて開いた時に安定感がある」(土谷貴史さん)、「カードが見渡しやすく、小銭部分の半L字のファスナーも使いやすい」(矢野きくのさん)との声もあった。
(1)9.5×20.5×3センチ(2)赤、青(3)1万9440円(4)電話03・5638・6701(モルフォ)
手のひらサイズ 使い勝手二重丸
手のひらですっぽり包めるカードサイズ。「カード4~5枚、紙幣、小銭が最も美しくコンパクトに収まる。ポイントカードの断捨離をしたい人向き」(山口京子さん)。男性はワイシャツの胸ポケットに入れてもすっきり。「小さなハンドバッグを持つ女性には特に良い」(和田さん)
「取り出しやすさにも考えが尽くされている。カードは横に取り出せるので、アクション数が少なくて済み、時短にもなる」(矢野さん)、「小銭入れのポケットが広がるのも使いやすい」(野谷久仁子さん)など使い勝手の良さも高評価だった。
カラーによって男性用、女性用がある。紙幣を取り出す方向など左右を逆転させた左利き用もある。より高級な革を使ったタイプも。
(1)6×9×1センチ(2)男性用は黒、キャメルなど6色、女性用は緑、プラムなど7色(3)1万1850円(4)電話03・6418・9660(バリューイノベーション)
シンプルなのに収納力抜群 ポスタルコ
名刺入れをひとまわり大きくしたくらいのコンパクトな財布。「カード入れはポケットが1つだが、広がるので出しやすい」(土橋正さん)。「シンプルなのに収納力がある」(野谷さん)
内側の生地はテント地用の機械でプレスしてある。使い込むとジーンズのように元の生地の生成り色が少しずつ現れ、柔らかくなり手になじんでくるという。「手に収めた時に最も気持ちよかった。サイズ感は重要な要素」(鈴木啓太さん)。
(1)8×11×3センチ(2)黒、オリーブなど4色(3)1万9980円(4)電話03・6262・6338
薄さにびっくり カード5枚収納
紙幣などを革に包んでホックを留めるだけのシンプルな構造で、薄く小型。紙幣10枚、100円玉15枚、カード5枚が入る。「ミニマムながら、全ての機能へのアクセスが良い」(納富さん)
製品名は「端切れ・ぼろ切れ」という意味のイタリア語。「革の感じが優しい」(山口さん)。「スマホ時代の財布として十分」(鈴木さん)。
(1)6.8×10.2×1.5センチ(2)黒、茶など6色(3)4860円(4)電話03・5829・9904
パカッと開けて 見やすい箱形
一見するとカードケースだが、外側の留め具を外して広げると財布だ。小銭入れは箱形で見やすい。「カード入れが紙幣を押さえる機能は新鮮」(野谷さん)。「持ち替えずに全ての機能が使え、たくさん入るのにコンパクト。機能性財布のパイオニア」(納富さん)
ぎぼしを模した外側の留め具については「留めづらい」との指摘もあった。
(1)8.5×11×2.5センチ(2)黒、赤など10色(3)1万5120円(4)電話03・5829・9904
底のふかーい小銭入れ 揺すって取り出し
コンパクトな二つ折り財布。「小銭入れの容量が大きく、揺すると出てきて探しやすい」(土橋さん)。「使いやすい、お金をなくさない、傷めないという点が良く考えられていて完成度が高い」(鈴木さん)
カードはポケットに6~8枚まとめて入れる構造。「紙幣と小銭は十分に入るので、カードが少ない男性向け」(深田晶恵さん)との意見も。
(1)8.5×11×2.5センチ(2)黒、赤、ネイビー(3)3万1320円(4)電話03・6262・6338
小銭とカード 段差つきポケットで工夫
ジッパーを開けると、小分けになった収納ポケットが広がる。「紙幣とレシートが簡単に分けられる」(山口さん)。小銭とカード部分は底が浅めで、指が届きやすいよう工夫されている。「ポケットの段差が取り出しやすい」(野谷さん)。
(1)10.2×20×0.8センチ(2)黒、ネイビー、グレー(3)2万5920円(4)電話0877・35・8630
長財布? いいえ、2つに折って使えます
一見すると長財布だが、真ん中でたたんでホックで留めると二つ折りになる。「アイデアが秀逸。持ち主以外は中身が見えにくい」(納富さん)。「小銭入れは出し入れしやすく落としにくい」(深田さん)。
(1)9.4×9.4×1.7センチ(二つ折り時)(2)ネイビーなど5色(3)9900円(4)電話03・6418・9660(バリューイノベーション)
背面にカード入れ サッと取り出し
紙幣はファスナーのないポケットに差し込むように使う。うろこ状のカードポケットは逆三角形の切り口から取り出しやすいよう工夫されている。「薄さが際立っており、スーツの時に良い」(土谷さん)。
(1)9.8×17.9×0.8センチ(2)赤×ダークブラウンなど6色(3)2万2680円(4)電話045・624・9328
色はセミオーダー可 高いデザイン性
小銭入れとカード入れを並べる配置で薄型化した。「コンパクトなのに各機能にアクセスしやすい。一目で全体が見渡せる構造も秀逸」(納富さん)。「手帳のような美しさがある」(和田さん)。色の組み合わせなどのセミオーダーも可能。
(1)8.5×16.8×1.2センチ(2)黒、青など(3)1万6200円(4)電話0879・25・1237(ルボア)
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ランキングの見方 数字は選者の評価を集計して点数に換算した。製品名、ブランド・メーカー名。(1)サイズ(縦×横×厚さ)(2)色の種類(3)メーカー販売サイトの税込み価格(送料がかかることも)。(4)問い合わせ先。1~3位の写真と2面の全体写真は矢後衛撮影、ほかは各メーカー提供。
調査の方法 専門家の協力で、「紙幣、小銭、カードの3つが収納できる機能的に優れた革財布」21点を選定。「財布としての機能性」を総合評価した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
吉比浩(資材連副理事長)▽鈴木啓太(プロダクトデザイナー)▽土橋正(ステーショナリーディレクター)▽土谷貴史(ロフトバイヤー)▽納富廉邦(フリーライター)▽野谷久仁子(革手縫い職人)▽深田晶恵(ファイナンシャルプランナー)▽矢野きくの(家事アドバイザー)▽山口京子(ファイナンシャルプランナー)▽和田由貴(消費生活アドバイザー)
[NIKKEIプラス1 2017年7月29日付]
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